2016.04.18更新

建物の賃貸借契約の場合,原則として借地借家法の規定の適用があります。

この法律によって,賃貸期間を契約で定めても,原則として賃貸借契約は更新されてしまい,期限を定めても必ず立ち退いてもらうということができません。

立ち退いてもらうためには,「正当事由」が必要とされていますが,この正当事由があるというためのハードルが高いのが実情です。

 

しかし,一定期間をもって,賃貸借契約を終了させることへの需要が大きいため借地借家法は,「定期建物賃貸借」という方式を用いることで,更新がない賃貸借契約を認めています。

もっとも,定期建物賃貸借契約は,書面で作成し,契約の更新がないことを明記すること,期間満了により賃貸借契約が満了することを書面を交付して説明するななど一定の要件が必要となります。

 

また,契約書の作成だけではなく,定期賃貸借契約の満了の1年前から6か月前までに期間満了によって賃貸借契約が終了することも通知するといった手続的な要件も必要になります。

 

とはいえ,定期建物賃貸借契約は,期間の満了により,更新なく賃貸借契約を終了させることができるため,うまく活用することによって,不動産の有効活用を図ることができます。

投稿者: 棚田 章弘

2015.09.04更新

賃貸不動産をお持ちの方は,賃借人が家賃を支払ってこないという場合もあると思います。

 

この場合に,回収する手段としては,

① 任意故障

② 裁判手続

③ 支払督促

などといった方法が考えられます。

 

①は弁護士が間に入ったうえで,通知書を送り,支払を請求するものです。

 利点は,簡易迅速で費用も定額であること,

 欠点は,相手方が任意に支払わなかったときは,回収できないこと,

です。

②裁判手続は,裁判を用いて賃料を回収する方法です。

建物の明け渡しの裁判も一緒に行うのが通例です。

 利点は,判決を得れば賃借人の財産を差し押さえて回収ができること

 欠点は,判決をとっても賃借人に財産がなければ回収ができないこと

です。

裁判になるということは相当程度家賃の滞納が続いていることから,

回収よりも建物を明け渡してもらうことが主眼になることが多いと思われます。

賃借人もお金がないからこそ賃料を支払っていないのであり,回収を図るためには相当の工夫が必要になります。

その意味では入居時に保証人をつけておくなど,事前に回収手段を増やしておくことが必要になるでしょう。

 

③支払督促は,裁判所を利用した簡易な回収手段です。

借主の意見を聞かないまま裁判所が支払を命じる督促を発します。

もっとも,相手方の意見を聞かないまま行うので,借主の側で異議を申し立てれば通常裁判手続に移行します。

 利点は,裁判よりも早期に強制執行できるようになること

 欠点は,借主が異議を述べれば通常裁判に移行すること,判決と同様に借主に財産がなければ回収できないこと

です。

支払督促自体の効果は,未払賃料を命じる裁判と同様の効果しかありませんので,

財産を有する保証人がいる場合など利用する機会は限られるでしょう。

投稿者: 棚田 章弘

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