2024.08.22更新

企業間や個人で業務委託契約などを結ぶ際に、NDA(秘密保持契約書)と呼ばれる契約を結ぶことがあります。
このNDA(秘密保持契約書)とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
この記事ではNDA(秘密保持契約書)がどのような時に使われるか、また必要な記載事項について解説します。

NDA(秘密保持契約書)とは?

NDA(秘密保持契約書)とは、取引において知った以下のような事柄を、取引目的以外で第三者に漏らさないことを定めた契約書です。

・取引を行う際に必要な営業秘密
・社内の情報
・顧客に関する個人情報

NDA(秘密保持契約書)はどのような時に使われる?

NDA(秘密保持契約書)はどのような時に使われるか説明します。

業務委託や他社への外注

たとえば、自社製品の説明書を他社に書いてもらう場合や、デザインを他社に任せる場合などが考えられます。
すべて自社でまかないたいけれども、そこまで行うには人手が足りない、設備が自社にないなどといった場合には業務委託や他社に外注することがあります。

他社との業務提携の場面

他社との業務提携の場面でも、秘密事項に関しての説明事項があった方が良いでしょう。
なぜならば、業務提携となると顧客情報を教えなければならなくなるからです。
もしも、顧客情報を外部に漏らされたら、信用問題に関わります。

新規取引を検討する場合

今まで付き合いのない会社と新規取引を検討する場合も、秘密事項に関しては正しく理解してもらいたいものです。

新規取引となれば、社内の情報も共有しなければならないことがあります。
万が一外部に漏らされてしまうと、自社独自の製品で漏らしたくない事項などが外部に流失してしまうかもしれません。

(NDA)秘密保持契約の締結はいつ?

(NDA)秘密保持契約は秘密情報のやり取り前に締結することをおすすめします。
仮に秘密情報のやり取り後の締結だとすると、すでに秘密情報が漏らされている可能性も考えられるからです。
秘密保持契約は、秘密情報のやり取りが発生する前の段階で締結することが望ましいです。
開示される情報の管理体制や権利義務関係について双方が合意した後に、情報が開示されなければ、その合意前に開示された情報が秘密として取り扱われない、それを受領者に利用されてしまうなどのリスクが生じうるためです。

しかし、やり取り前の段階となると、マニュアル作りを急がなければいけません。
また、きちんと禁止事項についての記載がないと誤解してしまう人がいる可能性もあります。
一から作るのは大変ですがひな形などをダウロードできますので、上手く利用しましょう。
そして、きちんと印刷して外部にも渡したいものです。
危機管理体制のある企業ということを取引先などに知っておいてほしいものでしょう。

(NDA)秘密保持契約に盛り込む事柄の例

では、具体的に(NDA)秘密保持契約にはどのようなことを盛り込めばよいのか、詳しく見ていきましょう。

機密情報の定義

まずは機密情報の定義をきちんと定めておくことが大切です。
秘密情報の例などを出してわかりやすく定義付けます。

管理方法

秘密漏えいを管理することも示しておきましょう。
きちんと管理されていることを相手に知らせておくことは大事です。

内容について

秘密情報を漏らさないことについて、お互いに気を付けることなど、内容がどのようになっているか書きます。
企業秘密を徹底していることが相手にわかるように記載しましょう。

例外に関すること

例外的ですが、秘密保持義務の対象とならないケースもあることも書いておきます。
そのようなケースについて定める規定があることも書いておくべきです。

期間について

秘密保持義務を守らなければならない期間がいつからいつまでか、わかりやすく記載します。

事故発生時の報告

万が一の秘密情報の漏えい事故が起こった場合を想定してください。
そのような時の対処法として、速やかに報告する旨を記載しておきます。

制裁について

秘密保持義務の違反があったときについての制裁も記載したいものです。
万が一のために損害の賠償、取引関係の解除などの制裁があることも書いておけば安心です。
相手も情報を漏らすことのリスクを認識するでしょう。

合意管轄について

もしも秘密保持義務の違反で大きな損害を被って裁判に発展した場合についても記載します。
そして、その際は、どこの裁判所が審理するかも記載しておくと丁寧です。

まとめ

NDA(秘密保持契約書)についてお伝えしました。
NDA(秘密保持契約書)は他社との業務提携、外部発注など、外部の人と関わる場合に社内のみが知っているような情報を離さないようにしてほしいことなどが記載してあります。
万が一の情報漏れを防ぐためには、作成しておいた方が良いでしょう。
こうしたNDA(秘密保持契約書)作成などの契約書については非常に重要となりますので、弁護士に相談することを検討してみてください。

 

投稿者: 棚田 章弘

2024.07.10更新

家族・親族が亡くなると、遺産の相続が必要になります。
遺産の相続に関しては、問題が発生しやすいこともありますので、順序通りに的確に処理していく必要があります。
また、遺産相続の手続には期限が設定されているものも少なくありません。
この記事では、被相続人が亡くなった場合の相続の流れと、それぞれの期限に関して解説していきます。

相続の流れを解説

まずは被相続人が亡くなってから、遺産相続手続を始めるまでの流れを解説していきましょう。

 

1. 法定相続人を確定する
2. 遺言書の有無を確認する
3. 相続財産を確定する
4. 相続放棄をするかどうかを決める
5. 遺産分割協議を行い協議書を作成する
6. 相続手続を始める

 

それぞれの段階ですべきことなどを解説していきます。

法定相続人を確定する

まずは誰が遺産相続の権利を持っているのかを確定させる必要があります。
遺産相続の権利を持つ方を法定相続人と呼び、その決め方は以下の通りです。

 

・配偶者 必ず相続権を持つ
・相続順位 1位 「子」
・相続順位 2位 「両親」
・相続順位 3位 「兄弟・姉妹」

 

まず、亡くなった方の配偶者は無条件で法定相続人です。
そのうえで子がいる場合、子が法定相続人となります。
相続順位第1位の子が法定相続人となる場合、2位と3位の両親、兄弟・姉妹は法定相続人とはなりません。
この考え方をもとに、法定相続人を確定させます。

遺言書の有無を確認する

被相続人の方が亡くなったタイミングで、遺言書の有無を確認しておきましょう。
遺言書がある場合、被相続人による相続の希望が記されていますので、その希望を確認しながら以下の行程を進めていきます。

相続財産を確定する

残された遺族のなかで法定相続人の方が中心となり、相続すべき財産を確定させます。
預貯金などの現金はもちろんのこと不動産や自動車などの動産、有価証券などが相続すべき財産の代表的なものです。
また、相続すべき財産には、一部マイナスの財産も含まれます。
借入金などがある場合は、その借入金が相続しなければいけないものかどうかも併せて確認しておきましょう。

相続放棄をするかどうかを決める

法定相続人が決まって相続すべき財産が確定し、さらに被相続人の方の希望を踏まえた上で、相続放棄すべきかどうかを決定します。
相続放棄に関しては、法定相続人がそれぞれ自身の判断で決定できます。

遺産分割協議を行い協議書を作成する

相続を希望する人が確定したら、相続を希望する法定相続人同士で遺産分割協議を行います。
相続分に関しては、法で定められた割合があります

とはいえ、相続する財産がすべて現金というわけではありませんので、残された財産をどのように分割するかを決定し、その結果を遺産分割協議書に残しましょう。

相続手続を始める

ここまでのすべての行程が完了できれば、初めて相続手続に入ります。
不動産の名義変更や預貯金の凍結の解除など、適切に処理していきましょう。

遺産相続に関するいろいろな期限

続いて、遺産相続に関するさまざまな期限を確認していきます。
ここではとくに相続に関することに限定して期限を紹介しましょう。

自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内にすべきこと

被相続人の死亡後、もしくは自身に相続権があることを知ってから3ヵ月以内にすべきことは相続放棄の申し出です。

上の手順と併せて考えると、少なくとも3か月以内に相続すべき財産を確定させなければいけません。
また限定承認の期限も、自身に相続権があることを知ってから3ヵ月以内です。

相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内にすべきこと

被相続人の方が亡くなってから4ヵ月以内に、準確定申告を行いましょう。
準確定申告とは被相続人の方が確定申告を必要とする方だった場合、4ヵ月以内に亡くなる日までの確定申告を遺族の方が行わなければいけません。

相続の開始があったことを知った日から10ヵ月以内にすべきこと

10ヵ月以内に行うのが、以下の手続です。

 

・遺産分割協議書の作成
・預貯金の解約・名義変更
・相続税の申告・納付

 

遺産分割協議書に関しては上の項で説明した通りです。
被相続人の方の預貯金の解約や名義変更もこのタイミングで終わらせる必要がありますので、遺産分割協議書が完成した時点ですぐに行いましょう。
厳密に言えば、遺産分割協議書の作成に期限は設けられていません。
しかし、遺産分割協議書が作成できない状態ですと、相続税の申告と納付が難しくなります。
遺産分割協議書は、相続の開始があったことを知った日から10ヶ月以内に作成できるようにするのがおすすめです。

相続税の申告・納付は原則10ヵ月以内ですので、時間がない場合の対応などに関しては、弁護士等に相談するのがおすすめです。

相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内にすべきこと

遺産相続の分配率は、原則法で定められています。
この分配率に反した遺産相続があり、被害を被ったという場合は遺留分侵害請求ができます。
この遺留分侵害請求の時効が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ってから1年間となっていますので、遺留分侵害請求を行う場合は、1年以内が期限となります。

そのほか期限が設定されているもの

以下の2つに関しても、それぞれ期限が設定されています。

 

・高額療養費の申請
・葬祭費・埋葬料の申請

 

高額療養費とは、被相続人が亡くなる前に支払った医療費や薬局に支払った金額が一定金額を超えている場合に受け取れるものです。
高額療養を受けた翌月の1日から2年以内に申請を行う必要があります。

被相続人の方が国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた場合は葬祭費、国民健康保険に加入していた場合は埋葬料が支給されます。
葬儀の日から2年以内に申請しましょう。

さらに、それぞれの起算日から3年以内にすべきことは、以下の2点です。

 

・相続登記
・死亡保険金の受取

 

被相続人の死亡により不動産を相続した方は、相続登記を行うことが義務化されました。
自身にその不動産を相続する権利があることを知ってから3年以内に行う必要があり、難しい場合は相続人申告登記という方法もあります。

死亡保険金に関しては相続とは直接関係ありませんが、被保険者の死亡から3年以内が請求期限となっています。

まとめ

家族が亡くなると、残された遺族はさまざまな手続をしなければいけません。
とくに遺産相続に関してはすべきことが多岐にわたるため、整理して期限内に対応する必要があります。
まずは、その順序を知って手順通りに進めていくことが重要ですが、自身では対応が難しい場合は、無理せず弁護士を頼るのがおすすめです。
とくに法定相続人が多い場合などは、弁護士に的確なアドバイスをもらうのがポイントとなりますので、相続問題に強い弁護士に相談しましょう。

投稿者: 棚田 章弘

2024.06.12更新

大きなお金の動く不動産取引では、トラブルもしばしば起こります。
何か不動産をめぐって問題が発生しているようであれば、弁護士に相談するのも手段のひとつです。
弁護士に相談することで、納得できる形で問題解決できる可能性が高いからです。
本記事では不動産トラブルの際に弁護士に相談するメリットについて紹介していきたいと思います。

弁護士に不動産トラブルの相談するメリット

弁護士に不動産トラブルを相談することで問題解決しやすくなります。
というのも弁護士は法律の専門家であるからです。

代理人をお願いできる

弁護士に問題解決の依頼をすることで、法的根拠に基づいたアドバイスが受けられます。
また必要に応じて、代理人として先方との交渉を任せられるのもメリットの一つです。

第三者である弁護士が代理人として話し合いに参加することで、当事者双方冷静になりやすくなります。
感情的にならずに、事実と法律に基づき解決できます。

訴訟になった場合の準備ができる

弁護士が間に入っても、問題解決できない場合ももちろんあります。
すると訴訟に発展する可能性も出てくるでしょう。

しかし弁護士をつけておけば、訴訟に対しても慌てることなく準備をお願いできます。
裁判の専門家がついているので、自分たちに有利な条件で判決を受けられるかもしれません。

不動産トラブルを自分で対処するのは困難

「弁護士費用が掛かるのでできる事なら自分で解決したい」と思っている人もいるでしょう。
しかし現実的には非常に難しいと考えるべきです。

不動産の専門用語が出てくる

不動産取引に関して、業界ならではの専門用語がいろいろと出てきます。
また不動産業界独特の仕組みについても理解しておかないといけません。

もし自分で事に当たろうとすると、これらの勉強をしておく必要があります。
しかし弁護士に依頼すれば、自分で専門用語など覚えることなく任せられます。

訴訟になれば法律用語にも精通しなければならない

不動産トラブルがこじれれば、訴訟に発展する可能性があります。
すると一般人には難解な法律用語が飛び交いますし、訴訟に向けての書類も作成しないといけません。
ここまでくると、一般人の手には負えないでしょう。

弁護士は裁判のプロなので、訴訟に発展してもしっかり対応できます。
精神的・肉体的な負担も軽減できるでしょう。

こんな時に弁護士に相談すべき

不動産問題が起きた場合に弁護士に相談するのはおすすめです。
では具体的にどのようなシチュエーションで利用を検討すべきか、以下で紹介します。

 

リーガルチェック

不動産取引では大きなお金が動きます。
そこで契約書を作成して、取引に関する決まり事を文書にして残すのが一般的です。
不動産売買契約書だけでなく、管理に関する契約書、サブリース契約書などがあります。
また賃貸を借りる際にも契約書を作成します。
不動産売買の際には重要事項説明書も作成しないといけません。

このとき弁護士にお願いして、法的に問題はないかチェックしてもらうといいでしょう。

いわゆるリーガルチェックと呼ばれるものです。

最近ではネットで検索にかければ、不動産取引に関する各種契約書のテンプレが公開されています。
テンプレを使用すれば、契約書は作成できるかもしれませんがそのまま流用すれば、実際の取引内容と異なる項目が含まれたり、細かなリスクマネジメントができなかったりなどの不備が発生しやすくなります。
その結果、厄介なトラブルに発展するかもしれません。
そこで弁護士に契約書の内容に関して、リーガルチェックをお願いします。
そしてトラブルを回避するためにはどのような契約書にすればいいか、助言してもらいます。
もちろん、弁護士にお願いして契約書を作成してもらうことも可能です。

不動産事業に関する相談

不動産事業を営んでいる事業者は、顧問弁護士をつけている場合も少なくありません。
もし顧問弁護士がいれば、何か不動産ビジネスに関するトラブルが発生した場合、いつでも相談できます。
顧問弁護士に早めに相談すれば、早い段階で専門家に対応してもらえます。
別に事業者でなくても、個人も弁護士に早めに相談すればトラブル予防できるかもしれません。

まとめ

今回は不動産に関するトラブルを弁護士に依頼するメリットについて紹介していきました。
不動産取引は大きなお金が動きますし、また契約書も業界特有の用語も頻出するので、自力ですべて理解するのは非常に困難です。
弁護士に相談することで、不動産トラブルが起きてもこちらの有利なように対応してくれるでしょう。

投稿者: 棚田 章弘

2024.05.29更新

ビジネスをするにあたって、契約書を作成する場合も多いでしょう。
しかし契約書を作成しても、その内容に法令違反などのトラブルが発生すると後々問題になります。
そこで必要なのが、今回紹介するリーガルチェックです。

 

リーガルチェックを行う必要性

結論から言うと、契約締結時事前にリーガルチェックをしておくことで、さまざまな問題を回避できます。
なぜリーガルチェックが必要なのか、その理由についていくつかピックアップしました。

 

不利な契約条項を事前に発見できる

とくに取引相手から提示された契約書で起こりがちなトラブルです。
相手の方に有利な条項が盛り込まれていてもそれを発見できずに署名・捺印してしまって、不利な条件での取引を強いられてしまいます。

もしリーガルチェックを行えば、このような不利な条件も発見して指摘できます。
不利な立場でのビジネスを強いられて、不利益を被らずに済みます。

 

実際の取引内容に即しているか確認できる

実際の取引に合わない内容の契約書にサインしてしまう恐れを回避できるのが、リーガルチェックです。
「取引内容に合わない契約書など作成されるのか?」と思う人もいるでしょう。しかし実際には契約書作成を担当した人に十分な知識がなかったり、テンプレをそのまま流用したりすると実際の条件に合致しない契約書ができあがってしまうこともあります。

しかしリーガルチェックをしておけば、内容のおかしいことに気づけるはずです。
もしおかしな内容のままで署名・捺印してしまうと、想定していなかった義務が発生して、作業効率の低下にもつながりかねません。

 

明確な契約書を作成できる

リーガルチェックすることで、不明点について確認することが可能です。

当初の契約内容があいまいで複数解釈できるような内容だと、当事者間で見解の相違が起こりトラブルになります。

しかしリーガルチェックで、あいまいな部分をあぶりだし、具体的かつ明確な条文にすることでこのような見識の相違を起こりにくくできます。

専門家によるリーガルチェックで、あいまいな言葉を明確にしたり、間違った言葉を修正したりして内容の発揮した契約書を作成できます。

紛争リスクを回避するためにも、リーガルチェックを行うべきです。

 

契約の無効を回避できる

リーガルチェックを行う目的として、法律などルールに則さない内容の有無を確認することも挙げられます。

いくら同意があったとしても、公序良俗に反したり、消費者契約法などの関連法規に違反したりすると最悪契約書そのものが無効になる可能性もあります。

違反の内容次第では行政処分や行政指導の対象になることもあり得ます。

営業停止や営業許可の取り消しなど厳しい処分を受ける可能性もあるので、リーガルチェックで法的な問題点の有無を確認することは大事です。

 

リーガルチェックをするには?

リーガルチェックの必要性がわかったところで、具体的にどのように行うかについて見ていきます。
またリーガルチェックをするにあたっての注意点についてもまとめましたので、参考にしてください。

 

リーガルチェックの一般的な手順

リーガルチェックの手順を簡潔にまとめると、以下の通りです。

 

・契約書の準備
・自社情報の準備
・内容の整理
・弁護士に相談

 

まずは今回締結することになった契約書を用意しましょう。

初めてリーガルチェックを依頼する場合、先方が自社について理解してもらうために自社情報を整理しておきましょう。

会社の資本金や従業員数が変わってくると、適用される法律が変わったり、基準が別になったりする場合もあります。

チェックする側が会社に関する正しい情報を把握していないと、リーガルチェックも意味をなさなくなるかもしれません。自社の法務部などがリーガルチェックするのであれば、こちらの工程は必要ありません。

弁護士など専門家に契約書に関する説明ができるように、内容について整理しておきましょう。

今回の契約書によって、どのような条件の下で合意したいのかも弁護士に説明できるように準備しておきましょう。

また契約書の中で気になる事柄があれば、弁護士にその部分も指摘できるようにしておくといいです。

準備万端となったところで、弁護士にリーガルチェックの相談をします。

 

リーガルチェックの際の注意点

もしリーガルチェックを弁護士事務所など、外部の専門家に委託する場合費用がかかります。

費用は依頼内容によって変わってきます。契約情報に法令違反がないか、簡潔なチェックであれば3万円程度です。

リーガルチェックのほかにも契約締結にあたってアドバイスが欲しければ、5~10万円が相場といわれています。

ただ依頼する事務所の規模によっても変わってくるので、見積もりを出してもらうといいでしょう。

 

まとめ

法的なことに関して十分な知識を持たない人が作成した契約書だと、法律に問題のある条項が盛り込まれているかもしれません。

またこちらが不利になる内容が含まれているかもしれないので、専門家によるリーガルチェックは忘れずに行うべきです。

自社の法務部があればそちらでチェックできますが、中小企業など法務部がない場合弁護士事務所に契約書の確認をお願いするのがおすすめです。

投稿者: 棚田 章弘

2016.11.11更新

賃料増額,賃料減額の裁判を提起した場合,どのように裁判は進むのでしょうか。

争点は,賃料が高いか,安いかですから,訴える原告が自分の考える適正賃料を主張し,証拠によって,証明していくことになります。

一方,訴えられた被告としては,現行の賃料が適正であることを証拠によって立証します。

双方,不動産鑑定士の鑑定書を用いて立証したり,裁判所が選任する鑑定人の鑑定によって,適正賃料の証明がなされます。

賃料減額の裁判が確定した場合,貸主は,裁判によって決められた賃料とそれまで受け取っていた賃料の差額を支払い,かつ,1割の利息を支払います。

逆に,賃料増額の裁判が確定した場合,借主は,裁判によって決められた賃料とそれまで払っていた賃料との差額を支払い,かつ,1割の利息を支払うことになります。

 

投稿者: 棚田 章弘

2016.11.08更新

賃貸借契約をしていて,相場に比べて賃料が安い,または高いと感じる場合があります。

こういった場合,賃料の増額や減額をすることができるのでしょうか。

借地借家法によれば,「土地に対する租税その他公課の増減により,土地の価格の上昇もしくは低下その他の経済的事情の変動により,又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは,契約の条件にかかわらず,当事者は,将来に向かって地代等の増減を請求することができる。」

とされています。

よって,様々な事情により,賃料が不相当だ,ということであれば,相手方に請求することによって,賃料の増減額請求をすることができます。

もっとも,賃借人,賃貸人がこれに応じてくれるかは,請求を受けた賃借人,賃貸人次第です。

その増額請求について,賃借人が「いや,今の賃料が適正だ。」と思えば,現行の賃料を支払っておけばよいことになっています。

反対に,請求を受けた賃貸人が「いや,今の賃料が適正だ,」と思えば,現行の賃料を請求してもよいことになっています。

 

このように,増額額請求は,直ちに法的に賃料の増減を相手方に強制することはできません。

増減額請求の効力を法的に生じさせたい場合,相手方に対して,賃料増額,賃料減額の裁判を定期することになります。

次回では,賃料増額,賃料減額の裁判をした場合の効果について記載したいと思います。

投稿者: 棚田 章弘

2016.11.05更新

マンション・アパートで借主が自殺した場合に,相続人に損害賠償はできるのでしょうか。

この点,借主は,貸主に対し,善良な管理者の注意義務を負い,借りた物件に損害を与えないように利用しなければなりません。

そして,借主にとって自殺をした場合に,当該賃貸物件について,その後に賃借しようという人が出現しやすくなることは容易に想像できますし,

借主に,建物内で自殺をしないように求めても酷とは言えません。

このため,マンション・アパート内で,借主が自殺することは,大家に対して全巻注意義務違反によって損害を与えたことになります。

よって,大家は,借主の相続人,連帯保証人に対して,損害賠償を請求できることになります。

 

では,どのくらいの損害賠償を請求できるかになりますが,

自殺物件であっても,時間の経過によって,人の嫌悪感も薄れていき,借りる人も現れるようになります。

このため,認められる損害は,自殺したことによって,借りる人が現れないと思われる合理的な期間の賃料,

また,合理的な期間内の自殺物件ということによって下がってしまった賃料と得られる賃料との差額,ということにあります。

 

過去の裁判例では,1年間分の賃料と,その後2年間の下がってしまった賃料と本来得られたであろう賃料の差額が損害として認められた事例,

従前賃料の半額弱の2年分を損害とした事例などがあります。

 

自殺の社会的認知度などによっては,より長い期間の賃料損害が認められることもあると考えられます。

投稿者: 棚田 章弘

2016.11.02更新

賃料を滞納したときは,賃貸借契約が当然に解除されるものとします,というような契約(失権約款)が締結され,これが有効だとすれば,

大家にとっては有利であり,借主にとってはちょっとでも賃料の支払が遅れてしまえば,住む場所を失うことになるので,きわめて不利です。

このような条項が許されるかのでしょうか。

この点,過去の裁判例では,失権約款があっても,貸主と借主の信頼関係が賃貸借契約の当然の解除を相当とする程度まで

破壊されたといえばない場合には失権約款によるよる当然の解除は認められないとしたものがあります(最判昭51・12.17判寺848・65)。

したがって,失権約款があったとしても,当然に契約を解除できるわけでもなく,単に支払が遅延した程度では解除は難しいといえるでしょう。

 

投稿者: 棚田 章弘

2016.10.20更新

借主が家賃を滞納した場合に,貸主が自由に貸した建物に入ることができる条項は有効でしょうか。

確かに貸主としては,自分の建物なのだから,例えば,家賃滞納などの場合には,自由に借主の部屋に入って借主が在室しているかなどを確認したいと気持ちはあるでしょう。

 

しかしながら,貸主が借主の同意なくして自由に当該部屋に入ることは借主の生活の平穏を害する行為になり,法律上は許されません。

正当な理由がない場合には住居侵入の犯罪を構成してしまう場合もあり得ます。

 

やはり,現在,人に建物を貸している以上は,現在使用している人がその建物を占有しているわけですから,自由に入ることを許す状況は,

公序良俗に反するものと考えられます。

緊急時など,合理的な理由を限定しない限りは,借主の部屋に事由に入れるとする条項は無効であるといってよいでしょう。

投稿者: 棚田 章弘

2016.10.17更新

取り壊し予定の建物があるけれども,一時的に賃貸するという大家さんもいらっしゃやると思います。

この場合,どのような内容で賃貸借契約を交わせばよいでしょうか。

 

借地借家法は,この点について規定を設けています。

借地借家法第39条

①法令または契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合において,建物の賃貸借をするときは,第30条の規定にかかわらず,建物を壊すときに賃貸借が終了する旨を定めることができる。

②前項の特約は,同項の建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってなされなければならない。

 

この条文による限り。

①法令または契約により一定期間経過後に建物を取り壊すときに契約が終了することを約すること

②取り壊すべき理由を書面に記載すること

で,取り壊しとともに契約が終了する契約にすることができます。

 

しかし,逆に,これを記載した契約書を作成しない場合には,取り壊す予定を口頭で説明しても,契約の終了を主張できないことになります。

①のみを記載しても,契約の終了を主張できませんから,きちんと②まで契約書に記載しておくことが大切です。

 

契約書を作成する際には,専門家に相談して作成しておくことをお勧めします。

投稿者: 棚田 章弘

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