2026.02.27更新

企業が経済活動を行ううえで、コンプライアンスを遵守することは非常に重要です。
今回は、弁護士が行う企業コンプライアンスの推進業務について考えていきたいと思います。

 

企業がコンプライアンスを重視する理由とは?

企業がコンプライアンスを重視する理由は、単に法律や規則を守るという義務的な側面に留まりません。
企業の持続的な成長と、社会的な信用を維持するために不可欠な経営戦略のひとつとなっています。
法令違反は、企業の社会的信用を著しく損ないます。
一度失った信用を回復するには、長い時間と多大なコストがかかります。
違反行為が発覚した場合、行政処分や罰則が科されるだけでなく、株価の下落、取引先からの契約解除、優秀な人材の流出といった、経営に致命的な影響を及ぼす可能性があります。 特に、独占禁止法や贈収賄規制、情報セキュリティに関する法令違反は、企業の存続に関わる重大なリスクになりえます。
そのため、企業はコンプライアンスの遵守を徹底することが重要となるのです。
また、コンプライアンス体制が整っていることは、コーポレートガバナンスの強化にも繋がり、企業価値の向上につながります。

 

弁護士がサポートするコンプライアンスの推進業務は?

弁護士は、企業のコンプライアンス体制の構築・運用において、法的リスクの管理や社内教育、調査、相談対応など、多岐にわたる役割を果たします。

具体的に確認していきましょう。

 

法的なリスクを管理する

弁護士は、企業活動に伴う様々な法的リスクをコントロールするための体制構築を支援します。
具体的には、定款や就業規則、取締役会規則、内部統制システムやリスク管理体制を定めた社内規程などの法的問題点を調査・検討し、適切な社内規程やガイドラインの作成・チェックが考えられます。
また、新規事業や新商品に関する法的リスクのチェックも重要な業務です。
法令違反がないかを事前に確認することで、コンプライアンスリスクマネジメントを組織的に行うことが可能となります。
さらに、法令改正情報の提供と、それが実務に与える影響に関するアドバイスも行います。

 

企業内でコンプライアンス研修を行う

コンプライアンスを徹底するためには、従業員の意識向上が重要です。
弁護士は、独占禁止法や贈収賄規制、その他関連法令に関する社内研修の企画・実施を担います。
役員、リスクの高い部門、一般従業員向けなど、階層別に内容を工夫した研修を提供することで、実効性の高い教育を実現します。
コンプライアンス・マニュアルの作成や管理、定期的なコンプライアンス研修の実施も行い、従業員が実務に即した内容を理解し、法令遵守を徹底できるように支援します。
eラーニングなどの最新の教育手法を活用した研修も提供します。

 

企業内の法的リスクの調査などを行う

企業内で法令違反や不正行為が疑われる事態が発生した場合、弁護士は第三者的な立場から内部調査を担います。
違反行為の調査、関係者へのインタビューやヒアリング、証拠収集などを行い、事実関係を正確に把握します。
調査結果は、報告書として作成し、経営層に報告します。
反社会的勢力対応や危機管理案件への関与も行い、企業のリスクを最小限に抑えるための対応を行うことも可能です。
弁護士による客観的かつ公平な調査は、後の対外的な説明責任を果たすうえで重要となります。

 

企業内部門の相談を聞きアドバイスする

弁護士は、日常的な法律相談への回答や助言を通じて、企業のコンプライアンス推進を支援します。
具体的には事業部門などからの相談に対応し、代替案の提案や、前向きな解決策の提示を行います。
日常的な法律相談へのアドバイスを通じて、従業員が気軽に相談できる体制を構築することが可能です。

 

まとめ

今回は企業がコンプライアンス推進を検討した際に、弁護士が行うことを紹介していきました。
企業がコンプライアンスの体制を整え、維持できるようにするためには、法的リスクの管理を行ったり、社内研修を通じて従業員を教育することなどがとても大切です。
しかし、企業が自社のみで行うのは、情報の収集や法的な知識などが必要であるため、難しい可能性が高いです。
したがって、コンプライアンスに関して、強化を図りたいと考えた場合には、弁護士に相談することを検討してみてください。

 

投稿者: 棚田 章弘

2026.02.06更新

従業員の賃金を減額する減給は、企業の経営状況の悪化や、従業員の規律違反に対して行われることがあります。
しかし、労働者の生活に直接影響を与える賃金には、労働基準法によって厳格なルールが定められています。
この記事では、企業が減給を行う際に避けるべき注意点や違法ではない減給について解説いたします。

 

減給とは?

減給とは、労働者の賃金から一定額を差し引くことです。
この減給には、従業員の不正行為や規律違反に対する制裁として行う懲戒処分としての減給と、会社の経営状況の悪化や、職務内容の変更などに伴い労働条件として行う場合があります。
懲戒処分としての減給は、労働基準法によってその上限が厳しく定められています。
一方で、労働条件の変更としての減給は、就業規則の変更や労働者との合意に基づいて行われるものです。
減給は、労働者の生活に直接影響を与えるため、会社は法律を遵守し、慎重に行わなければなりません。

 

減給する際の注意点

会社が従業員の賃金を減給する際には、以下の重要な注意点があります。

 

懲戒処分としての減給には上限がある

懲戒処分として減給を行う場合、労働基準法第91条により、その上限が厳しく定められています。
具体的には、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。
また、総額が、賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならないという制限もあります。
これらの制限を超えた減給は、法律違反となります。
この上限規制は、労働者の生活を保障し、会社による過度な制裁を防ぐために設けられています。

 

懲戒権の濫用にあたる可能性がある

減給の懲戒処分が、その行為の性質や情状に照らして客観的に合理的であると認められず、社会通念上相当ではないと判断された場合、それは懲戒権の濫用にあたります。
懲戒権の濫用と判断された場合、その減給処分は無効となります。
減給処分を行う際は、就業規則の懲戒規定に則り、適正な手続きと明確な理由をもって行う必要があります。
恣意的な減給処分は、裁判で会社の責任が追及されることになります。

 

労働者に減給への同意を求めるときは任意でなければならない

懲戒処分ではなく、労働条件の変更としての減給を行う場合、労働者の同意が必要となります。
この同意は、労働者の自由な意思に基づいて任意で行われたものでなければなりません。
会社が一方的に不利益な変更を押し付けたり、強要したりした場合、その同意は無効と判断される可能性があります。
労働者の同意を得る際は、減給の必要性や理由を十分に説明することが求められます。

 

違法でない減給の理由

減給が違法とならないためには、明確な根拠が必要です。

 

減給の懲戒処分を行う

就業規則に減給を伴う懲戒規定が定められており、従業員の規律違反や不正行為に対して、その規定に則って適正な手続きを踏んで行う減給は違法ではありません。
この場合、労働基準法が定める上限の範囲内であることが必要です。

 

出勤停止処分にあわせて減給する

出勤停止処分は、懲戒処分の1種であり、従業員を一定期間出勤させない処分です。
出勤停止期間中の賃金は、労働義務が免除されるため、会社は支払う必要がありません。
この場合、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき賃金が支払われないことになります。
これは違法な減給にはあたりません。

 

降格処分に伴って減給する

降格処分は、役職や職位を引き下げる措置の1種で、人事的な措置の場合と懲戒処分の場合があります。
就業規則に降格に伴う賃金の変更が規定されており、その規定に則って降格と同時に合理的な範囲内で賃金を引き下げることは、違法ではありません。
この場合、降格による賃金体系の変更であり、懲戒処分としての減給とは区別されます。

 

労働者と合意のもとに減給する

会社の経営悪化など、客観的な理由があり、労働者がその減給措置に納得し、書面で合意した場合は、違法ではありません。
この場合、労働者の自由な意思に基づく合意であることが重要です。
ただし、会社側が一方的に減給し、後に労働者が同意したと主張することは認められません。

 

まとめ

減給には、懲戒処分としての減給と、労働条件の変更としての減給があります。
懲戒処分としての減給には上限があり、超えた場合は法律違反となります。
減給が違法でないためには、就業規則に基づく懲戒処分であるか、または労働者との合意があることが必要です。
減給処分を行う際は、懲戒権の濫用にあたらないよう、慎重な判断が求められます。
労務問題でお困りの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。

 

投稿者: 棚田 章弘

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