2016.05.17更新

自分が浮気して,別居した場合に,他方の配偶者に婚姻費用(生活費)の請求はできるのでしょうか。

これについては,先例として東京家庭裁判所の平成20年7月31日の審判があります。

この事案は,以下のようなものでした。

 夫婦の間には,長女が一人。

 妻が勤務先の男性と不倫関係になり,不倫相手のアパートで暮らすようになった。

 後に,妻は賃貸マンションを賃貸し,長女を引き取って生活していた。

このような事案で,裁判所は以下のように判断しました。

 別居の原因を自ら作り出した妻は,自らの生活費にあたる分の婚姻費用の請求は権利濫用となり許されない。

 請求できるのは,未成年の長女の実質的監護費用を婚姻費用の分担として請求しうるにとどまる。

 

自ら不貞行為をしながら,婚姻費用の請求をできるとするのは,一般人の感覚からずれているといえ,

裁判所は,子どもの監護養育費用の請求しか認めませんでした。

 

別居の原因を作り出した者からの婚姻費用の請求は制限されることが一般的といえるでしょう。

 

投稿者: 棚田 章弘

2016.05.13更新

相続人が亡くなった場合,預金は,当然に法定相続分に従って,各相続人が取得するものとされています。

このため。理屈のうえでは法定相続分に限り,預金を引き出すことはできることになります。

 

もっとも,銀行は,被相続人の死亡が明らかになった段階で,預金を凍結します。

銀行とすれば,そのまま引き出せるような状況にしておくと,相続人が法定相続分を超える額を引き出して使ってしまうことがありうるからです。

もっとも,銀行が死亡の事実を知らなければ預金口座は凍結されることなく,ATMなどで引き出されてしまう。ということも起こりえます。

 

預金の引き出しに関しては,葬儀費用を支出するために,被相続人の死亡後に預金を引き出した,という事例が多くみられます。

しかし,引き出した預金の使い道についてきちんと説明できない場合,紛争に発展するケースがあります。

 

このため,被相続人の死亡後に,預金を引き出してしまった,という場合には,

その引き出した預金の使徒をしっかりと説明できるよう。領収書などの支出を証明する資料を保管しておくことが重要となります。

投稿者: 棚田 章弘

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