2024.12.27更新

不動産オーナーの賃貸トラブルが発生した際に、最も頼りになる存在が弁護士です。
家賃の滞納は放っておくと取り換えしのつかないトラブルにつながるため、早急に対処が必要です。
本記事では、家賃回収の対象方法から、家賃滞納を防ぐ方法を解説していきます。

 

家賃滞納による法的措置には、適切なステップを踏む必要がある

アパートの入居率を高め、空室がない状況の維持が賃貸経営においてとても重要です。
しかし、家賃滞納による家賃回収ができない状況が常態化すると、所有物件に空室がある以上に賃貸経営においては深刻な問題です。
入居者の権利が強く保護されているため、対応が発生したからと言ってすぐに退去とはならず、適切な対処を段階的に取り続けることで、法的措置を円滑に進められます。

 

家賃滞納から法的措置による家賃回収の流れ

実際に家賃滞納が発生した場合には、明け渡し訴訟を視野に入れたとしても最初の家賃滞納が発覚してから6ヶ月以上かかる場合が予想されるため、家賃回収対応は速やかに行わなければなりません。
ここでは家賃滞納が発生した際に、法的措置による家賃回収に着手するまでの流れを解説いたします。

 

管理会社へ連絡し督促を依頼

管理会社に物件の管理を任せている場合で家賃滞納が確認された場合には、管理会社にすぐに連絡します。
管理会社はオーナーに代わり賃貸管理業務を担い、入居者への対応を代行してくれるため、家賃滞納が確認された後の対応を任せられます。

 

入居者へ連絡する

家賃滞納が確認されたらすぐに、入居者へ連絡しましょう。
家賃滞納の多くの原因は、引き落とし日の勘違いや残高確認不足など、金銭的な原因以外がほとんどです。
この時点では督促するわけではなく、まずは支払いの意志や態度の確認という意味の丁寧なニュアンスで連絡するようにしましょう。
その際に、度重なる連絡や早朝・深夜の連絡行為は禁止行為となるため注意が必要です。

 

入居者への督促状の送付

入居者が1週間に渡って電話での連絡に応じず、約束された期日までに家賃の支払いが確認できない場合には、書面での督促状を送付します。
督促状には下記の内容を記載の上、送付します。

 

● 期日
● 振込先
● 滞納家賃の金額
● 物件名と部屋番号

 

しかし、初回の督促送付では、入居者が意図しない滞納の可能性もあるため、もう一度「お知らせ」という形での通知がおすすめです。
初回の督促送付後にも1週間以上、入金または連絡がない場合には改めて期日を定めた督促状を送付します。
滞納が1ヶ月以上続き、家賃の支払いが確認されない場合には、次に解説する連帯保証人への賃料請求の督促を行う旨を記載します。
多くの入居者は連帯保証人への連絡を嫌がるため、家賃支払いを促せる可能性があります。

 

連帯保証人への賃料請求の督促

入居者からの連絡や支払いが確認できない場合、連帯保証人へ連絡します。
本来はほとんどの賃貸契約において、家賃滞納が確認された時点ですぐに連帯保証人への請求が可能です。
しかし、入居者の勘違いによる支払い忘れの可能性もあるため、前述の入居者への督促後をおすすめしています。
また、連帯保証人への連絡の際も、あくまで督促の段階であるため、緊急性や重要度が伝わるような文言を交えながらも、丁寧な表現を心がけることが大切です。
連絡自体は電話でも書面でも構いません。

 

契約解除の催告書を内容証明郵便で送付

催告書には以下の内容を記載します。

 

● 家賃の支払い期限
● 支払い家賃総額
● 遅延損害金額
● 契約解除または立ち退き要求を示唆する文言 等

 

上記の書面を内容証明郵便にて送付します。
郵便局が発行する内容証明郵便は効力が高く、裁判や支払い督促の際にも強力な証拠となり得ます。

 

明け渡し訴訟の申立て

ここまでの段階で家賃支払いも任意退去にも応じようとしない場合、法的措置の行使に移ります。
今回は明け渡し訴訟を例に解説します。
この段階に至るまでに、適切な対処を取りながらも入居者からの支払いが行われなかったという証拠が揃っているため、強制執行の判決が出る可能性が高いです。
明け渡し訴訟では強制退去や滞納家賃及び遅延損害金の回収もできる可能性があるため、手続きは煩雑ではあるものの、非常に強力な法的措置になります。

 

その他の法的手段について

明け渡し訴訟以外にも以下の2つの法的手段が選択できます。

 

支払督促

支払督促は簡易裁判所に申立て、書類審査のみで手続きが可能であるため、費用を抑えながら家賃回収ができます。
また、手続きが段階的ではあるものの、入居者からの異議がなければ最終的に強制執行も可能です。

 

少額訴訟

滞納金額が60万円以下の場合には、少額訴訟の検討もおすすめしています。
原則1回の審理で判決が出され、訴訟中であっても双方での話し合いや、和解に基づいた強制執行も可能です。

 

まとめ

家賃回収についての法的措置までには、段階的に対処を進めなければなりません。
また、実際に法的措置を取る場合にも、提出書類の作成や証拠の準備などが必要となるため、賃貸トラブルに強い弁護士への相談をおすすめしています。

投稿者: 棚田 章弘

2024.12.27更新

不動産オーナーの賃貸トラブルが発生した際に、最も頼りになる存在が弁護士です。
家賃の滞納は放っておくと取り換えしのつかないトラブルにつながるため、早急に対処が必要です。
本記事では、家賃回収の対象方法から、家賃滞納を防ぐ方法を解説していきます。

 

家賃滞納による法的措置には、適切なステップを踏む必要がある

アパートの入居率を高め、空室がない状況の維持が賃貸経営においてとても重要です。
しかし、家賃滞納による家賃回収ができない状況が常態化すると、所有物件に空室がある以上に賃貸経営においては深刻な問題です。
入居者の権利が強く保護されているため、対応が発生したからと言ってすぐに退去とはならず、適切な対処を段階的に取り続けることで、法的措置を円滑に進められます。

 

家賃滞納から法的措置による家賃回収の流れ

実際に家賃滞納が発生した場合には、明け渡し訴訟を視野に入れたとしても最初の家賃滞納が発覚してから6ヶ月以上かかる場合が予想されるため、家賃回収対応は速やかに行わなければなりません。
ここでは家賃滞納が発生した際に、法的措置による家賃回収に着手するまでの流れを解説いたします。

 

管理会社へ連絡し督促を依頼

管理会社に物件の管理を任せている場合で家賃滞納が確認された場合には、管理会社にすぐに連絡します。
管理会社はオーナーに代わり賃貸管理業務を担い、入居者への対応を代行してくれるため、家賃滞納が確認された後の対応を任せられます。

 

入居者へ連絡する

家賃滞納が確認されたらすぐに、入居者へ連絡しましょう。
家賃滞納の多くの原因は、引き落とし日の勘違いや残高確認不足など、金銭的な原因以外がほとんどです。
この時点では督促するわけではなく、まずは支払いの意志や態度の確認という意味の丁寧なニュアンスで連絡するようにしましょう。
その際に、度重なる連絡や早朝・深夜の連絡行為は禁止行為となるため注意が必要です。

 

入居者への督促状の送付

入居者が1週間に渡って電話での連絡に応じず、約束された期日までに家賃の支払いが確認できない場合には、書面での督促状を送付します。
督促状には下記の内容を記載の上、送付します。

 

● 期日
● 振込先
● 滞納家賃の金額
● 物件名と部屋番号

 

しかし、初回の督促送付では、入居者が意図しない滞納の可能性もあるため、もう一度「お知らせ」という形での通知がおすすめです。
初回の督促送付後にも1週間以上、入金または連絡がない場合には改めて期日を定めた督促状を送付します。
滞納が1ヶ月以上続き、家賃の支払いが確認されない場合には、次に解説する連帯保証人への賃料請求の督促を行う旨を記載します。
多くの入居者は連帯保証人への連絡を嫌がるため、家賃支払いを促せる可能性があります。

 

連帯保証人への賃料請求の督促

入居者からの連絡や支払いが確認できない場合、連帯保証人へ連絡します。
本来はほとんどの賃貸契約において、家賃滞納が確認された時点ですぐに連帯保証人への請求が可能です。
しかし、入居者の勘違いによる支払い忘れの可能性もあるため、前述の入居者への督促後をおすすめしています。
また、連帯保証人への連絡の際も、あくまで督促の段階であるため、緊急性や重要度が伝わるような文言を交えながらも、丁寧な表現を心がけることが大切です。
連絡自体は電話でも書面でも構いません。

 

契約解除の催告書を内容証明郵便で送付

催告書には以下の内容を記載します。

 

● 家賃の支払い期限
● 支払い家賃総額
● 遅延損害金額
● 契約解除または立ち退き要求を示唆する文言 等

 

上記の書面を内容証明郵便にて送付します。
郵便局が発行する内容証明郵便は効力が高く、裁判や支払い督促の際にも強力な証拠となり得ます。

 

明け渡し訴訟の申立て

ここまでの段階で家賃支払いも任意退去にも応じようとしない場合、法的措置の行使に移ります。
今回は明け渡し訴訟を例に解説します。
この段階に至るまでに、適切な対処を取りながらも入居者からの支払いが行われなかったという証拠が揃っているため、強制執行の判決が出る可能性が高いです。
明け渡し訴訟では強制退去や滞納家賃及び遅延損害金の回収もできる可能性があるため、手続きは煩雑ではあるものの、非常に強力な法的措置になります。

 

その他の法的手段について

明け渡し訴訟以外にも以下の2つの法的手段が選択できます。

 

支払督促

支払督促は簡易裁判所に申立て、書類審査のみで手続きが可能であるため、費用を抑えながら家賃回収ができます。
また、手続きが段階的ではあるものの、入居者からの異議がなければ最終的に強制執行も可能です。

 

少額訴訟

滞納金額が60万円以下の場合には、少額訴訟の検討もおすすめしています。
原則1回の審理で判決が出され、訴訟中であっても双方での話し合いや、和解に基づいた強制執行も可能です。

 

まとめ

家賃回収についての法的措置までには、段階的に対処を進めなければなりません。
また、実際に法的措置を取る場合にも、提出書類の作成や証拠の準備などが必要となるため、賃貸トラブルに強い弁護士への相談をおすすめしています。

投稿者: 棚田 章弘

2024.12.11更新

被相続人の遺産の相続方法は、単純承認、限定承認、相続放棄の3種類があります。
通常の相続方法は、単純承認で問題ありませんが、被相続人が多額の借金を抱えていた場合などは、限定承認、相続放棄を選択すべきこともあります。
本稿では、3種類の相続方法をどのように使い分けたらよいのか解説します。

 

3種類の相続方法

相続というと、被相続人(亡くなった人)の遺産を相続人が承継するというだけで、相続方法にはさまざまな種類があるという話はピンとこないかもしれません。
民法には、遺産をどのような形で相続するかという観点から、次の3種類の相続方法が規定されています。

 

 単純承認
 限定承認
 相続放棄

 

それぞれ確認していきましょう。

 

単純承認とは

被相続人の遺産は、相続人が当然に相続するわけではなく、相続するかどうかは相続人が選択することができます。
相続人が相続する場合は承認、相続しない場合は相続放棄になります。

単純承認とは、相続人が被相続人の遺産を単純に相続する場合です。
被相続人の遺産とは、プラスの遺産だけでなくマイナスの遺産、たとえば、借金や債務なども含まれます。
よって、単純承認した場合は、借金も相続することになるため、被相続人の債権者に対して弁済しなければならなくなります。

 

単純承認の方法

単純承認する場合は、単純承認する旨を宣言することもできますが、単純承認する方法については特に決まりはありません。
ただ、次の事由が生じた場合は、法定単純承認として、単純承認をしたものとみなされます。

 

 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。
 相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

 

一般的には、相続開始から3ヶ月経過すると、自動的に単純承認したことになります。
逆に、単純承認したくない場合、たとえば、借金も相続したくない場合は、3ヶ月以内に限定承認か相続放棄の手続きを行う必要があります。

 

限定承認とは

限定承認とは、被相続人の遺産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることです。
たとえば、被相続人の遺産にプラスの遺産とマイナスの遺産があり、債務超過の状態にあるのか、債務を弁済してもプラスの遺産が残るのかわかりにくいこともあります。
このような場合に、相続開始から3ヶ月で判断することは難しいこともあるため、限定承認することがあります。

 

限定承認の方法

限定承認する場合は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。
その際は、申述書と相続財産の目録を作成して提出する必要があります。
なお、限定承認は、相続人の全員が共同してしなければなりません。
被相続人の遺産を相続前に清算する意味があるため、一人でも反対していると限定承認の手続きを進めることができないからです。

 

相続放棄

相続放棄とは、被相続人の遺産を相続しない場合です。
プラスの遺産はもちろん、マイナスの遺産も相続しないので、被相続人の遺産が債務超過の状態にある場合に相続放棄を選択します。
相続放棄した場合は、初めから相続人とならなかったものとみなされます。
また、相続放棄した相続人の直系卑属が代襲相続することはありません。

 

相続放棄の方法

相続放棄する場合は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。
相続人が相続放棄すると宣言するだけでは、相続放棄したことにならないため注意が必要です。
また、「相続分がないことの証明書」等の書類に署名しただけでは、プラスの遺産を相続しない意思表示を示したことにはなりますが、マイナスの遺産は、署名した人の意志とは関係なく、当然に相続してしまいます。
そのため、被相続人の借金を相続したくない場合は、家庭裁判所に申述することが重要になります。

 

3種類の相続方法を選択するまでの流れ

単純承認、限定承認、相続放棄のいずれを選択するかは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に決めなければなりません。
3ヶ月間の流れは次のとおりです。

 

1. 被相続人が亡くなったことを知らされる
2. 戸籍調査を行い法定相続人を確定する
3. 被相続人の相続財産の調査を行う
4. 単純承認、限定承認、相続放棄のいずれを選択する

 

被相続人が亡くなったことを知らされる

ほとんどの法定相続人には亡くなった日に知らせが行くと思います。
そのため、一般的には亡くなった日が3ヶ月の起算点になります。

 

戸籍調査を行い法定相続人を確定する

被相続人が生まれてから亡くなるまでの間の戸籍謄本等を集めて、相続関係図を作成して、法定相続人を確定します。
被相続人が何度か婚姻を繰り返している場合は、前の配偶者との間に子がいることが判明したり、隠し子が発覚することもあります。
連絡を受けた時点で相続人になったことを知った人はその時点が3ヶ月の起算点になります。

 

被相続人の相続財産の調査を行う

被相続人の相続財産を確認したうえで、財産目録の形にまとめます。
プラスの財産はもちろん、マイナスの財産ももれなく調べましょう。

 

単純承認、限定承認、相続放棄のいずれを選択する

被相続人の相続財産の調査結果を見て、3つの相続方法のいずれを選択するか判断します。
単純承認と相続放棄は、相続人一人ひとりが個別に行うことができます。
限定承認の場合のみ、相続人全員が一致して行わなければなりません。

 

まとめ

相続方法には、単純承認、限定承認、相続放棄の3種類があります。
いずれの方法を選択するにしても、その前提として、法定相続人の確定、相続財産の調査といった事務作業を3ヶ月以内に済ませなければなりません。
被相続人が亡くなった直後に落ち着いて、相続財産の調査を行うことは難しいこともあるため、弁護士などの専門家に相談しましょう。

投稿者: 棚田 章弘

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