2025.07.18更新

顧問弁護士とは、企業や個人事業主が継続的な法律相談や法的支援を受けるために契約する弁護士を指します。
通常は月額の顧問料を支払い、必要なときにすぐ相談できる体制を整えるものです。
契約書の確認や従業員とのトラブル予防など、日常業務において生じる法的リスクへの対応が可能です。
経営の意思決定に際し、法的判断を要する場面は少なくありません。
そのようなときに信頼できる専門家が身近にいることは、大きな安心材料となります。
この記事では、顧問弁護士のメリットについてご説明していきたいと思います。

 

顧問弁護士は必要?

顧問弁護士の必要性は、企業の規模や業種にかかわらず高まっています。
取引先との契約、顧客対応、従業員の労務管理など、企業活動の多くが法律と関わるからです。
その都度弁護士を探して依頼する方法では、緊急時に迅速な対応が難しくなるおそれがあります。
一方で、顧問契約を結んでいれば、事情を把握した弁護士と継続的な関係があるため、迅速かつ的確な助言が得られます。
日常的な相談が可能となることで、問題を未然に防ぐ効果も期待できます。
とりわけ中小企業やスタートアップにとって、法的トラブルが事業継続に直結するリスクであることを踏まえると、顧問弁護士の存在は極めて重要といえるでしょう。

 

顧問弁護士がいることのメリット

顧問弁護士を持つことで、企業が直面する法的リスクを軽減し、的確な経営判断を支援してもらえます。
契約書や社内規程の確認、コンプライアンス対応などを通じて、法的な問題の芽を事前に摘むことが可能です。
また、クレームや労務問題、取引先とのトラブルが発生した場合にも、早い段階で対応策を講じられるため、被害の拡大を防げます。
継続的なサポートを受けることで、経営者が一人で判断を抱え込まずに済み、本来の業務に専念できる環境が整うというのもメリットです。
法的な不安を軽減し、安定した企業運営を支える大きな支柱となります。

 

法的なトラブルについて気軽に相談できる

顧問弁護士がいれば、日々の業務で発生するちょっとした疑問や不安も気軽に相談できます。
スポットでの依頼では尋ねづらい内容でも、顧問契約があれば相談の心理的ハードルが下がります。
たとえば、クレーム対応時の言い回し、契約書の文言確認、就業規則の改定など、初期段階で相談することで大きな問題への発展を防げます。
定期的な打ち合わせや情報共有を通じて、弁護士側も企業の方針や背景を把握しやすくなり、より的確なアドバイスが得られるというメリットがあります。
結果として、迅速で適切な対応が可能となり、企業のリスク軽減と業務の円滑化に貢献します。

 

法的なトラブルへの予防が可能

顧問弁護士がいることにより、日常的に法的リスクを点検・予防する体制がを整えることができます。
たとえば、取引契約書のリスクチェック、社内規程の法令適合性の確認、労働条件に関する助言など、幅広く対応が可能です。
最近では、ハラスメント対策やSNS運用に関する法的配慮なども求められており、企業の信頼性を保つためには日常的な法的視点が欠かせません。
顧問弁護士は、問題が顕在化する前の段階で、適切な助言を通じてトラブルを未然に防ぎます。
万が一トラブルが発生した場合でも、事前の備えにより損害の拡大を抑えることが期待できます。
このように、予防的な法務支援は企業経営の安定と成長に直結するというメリットもあります。

 

交渉や紛争に対応する手間が省ける

紛争が発生した際、顧問弁護士がいれば初動対応が迅速かつ的確に行えます。
日頃から企業の事業内容や経営状況を理解しているため、背景説明に時間を割く必要がなく、スムーズに対応が始められます。
たとえば、契約違反や代金未払い、労務トラブルなどの事案でも、弁護士が交渉の窓口となることで、感情的な対立を避けながら冷静な解決が図れます。
また、訴訟に発展した場合でも、既に信頼関係のある弁護士に依頼できるため、準備の負担などを軽減することが可能です。

 

まとめ

顧問弁護士は、企業法務の伴走者として、経営の安定と成長を支える存在です。
継続的に相談できる体制を整えることで、日々の業務における小さな法的課題にも対応でき、大きなトラブルを未然に防げます。
契約書の確認、労務管理、法改正への対応など、幅広い分野で助言を受けられることは企業にとって大きな強みです。
また、企業の方針や業務内容を理解したうえで助言を受けられるため、より実務に即した対応が可能となります。
トラブル発生時にもスピーディーな対応が可能であり、精神的な負担を軽減する効果もあります。
顧問弁護士の活用は、法的な安心感と経営判断の正確性を両立する手段といえるため、これを機に顧問弁護士を企業に導入するべきか、ご検討してみてはいかがでしょうか。

投稿者: 棚田 章弘

2025.07.04更新

会社経営が行き詰まり、債務の返済が困難になった場合の対応策として、法人破産という選択肢があります。
法人破産は裁判所を通じて会社を整理し、最終的に法人格を消滅させる制度です。
本記事では、法人破産の基礎知識から具体的な手続きの流れ、必要な期間までを詳しく解説します。

 

法人破産の基礎知識

支払いができない状態や、借金が資産を上回るなどの事情で、会社の運営を続けることができなくなった際の選択肢が法人破産です。
裁判所を通じた適切な手順で会社を整理し、最終的に会社を消滅させる制度です。
裁判所が指名する破産管財人によって、会社の財産を適切に管理し、換金処理を行い、定められた順序に従って債権者へ配分されます。

 

個人(自然人)の破産と法人破産の違いとは

個人が借金の返済に行き詰まった際に選択できる破産は、会社が選択する法人破産とは異なる特徴があります。
法人破産では会社の消滅と同時に債務が無くなる仕組みのため、免責手続きは不要です。
ただし、保有する財産は全て処分対象となります。
一方、個人の破産では裁判所による免責決定が必要となりますが、生活再建のための基礎となる財産を残すことは可能です。
具体的には、日用品や99万円以下の現金、生活保護を受ける権利などが残ります。
また、個人の場合は、未納の税金については支払い義務が継続します。
これは、法人破産との大きな違いのひとつです。

 

代表者も破産をする必要はあるのか?

法人破産をしても、代表者が自動的に破産する必要はありません。
ただし、代表者が会社の借入金などの連帯保証人となっている場合は、債務の支払い義務が個人に移るため、代表者も破産の手続きを検討しなくてはいけません。

 

法人破産手続きの進め方

法人破産は、定められた手順に従って確実に進める必要があります。
以下では、具体的な流れを解説します。

 

弁護士への相談から始める

法人破産は複雑な法的手続を伴うため、まずは弁護士への相談から始めることが重要です。
弁護士と相談することで、法人破産が最適な選択肢なのか、他に有効な方法がないのかを含めて、適切な判断が得られます。

 

法人破産申立ての事前準備を行う

法人破産が最適な選択肢と判断された場合、申立てに向けた準備作業を慎重に進めなくてはいけません。
企業の破産手続きは、個人の場合と比べてより迅速かつ秘密裏に行うことが必要です。
その理由は、債権者に事前に情報が漏れることで手続が混乱する可能性があるためです。また、従業員への情報開示も慎重に行う必要があります。
従業員を通じて債権者に情報が流出してしまうリスクを防ぐためです。
準備作業は弁護士と緊密に連携しながら、速やかに進めていきます。
特に従業員がいる会社の場合、申立ての直前に解雇手続を行うことが必要です。
また、会社財産の流出を防ぐため、収入・支出についても慎重が判断をしなくてはなりません。
このように破産申立ての準備には、細心の注意と適切なタイミングでの対応が求められます。

 

裁判所へ破産手続きを申立てる

必要な準備が整ったら、裁判所へ法人破産の手続開始を申し立てます。
会社の代表者が債務の連帯保証人となっている場合は、会社の破産申立てと同時に、代表者の自己破産も申し立てることが賢明です。

 

債務者審尋が行われる

裁判所は破産手続を開始するための要件を確認するため、債務者審尋を実施します。
この審尋では、裁判官とが、会社が破産申立てに至った経緯や状況について詳しく確認を行います。

 

破産手続が開始され破産管財人が選任される

裁判所が破産開始の要件を認めた場合、正式に破産手続が開始され、同時に破産管財人が選任されます。
管財人の選任により、会社の全ての財産に関する管理・処分の権限は管財人に移行するため、会社が独自に財産を処分することはできません。

 

定期的に債権者集会が実施される

破産管財人は、財産の調査や換金作業、債権者への配当などの実務を進めながら、およそ3か月ごとに債権者集会を開催します。
この集会では、破産手続の進行状況や財産の処理状況について、詳しい報告が行われます。

 

債権者への配当が実施される

破産管財人が会社の財産を換金処分した結果、配当可能な財産が確保できた場合、定められた順序に従い債権者への配当を行います。

 

破産手続が終了する

配当が完了した時点、あるいは配当できる財産がないと確定した時点で、破産手続は終了です。
手続の終了により、会社は法人としての資格を失い、同時に全ての債務も消滅します。

 

破産手続にかかる標準的な期間

破産手続の完了までにかかる期間は、会社の規模や資産状況によって大きく変動します。
一般的な目安は以下の通りです。

 

 弁護士への相談から申立てまで:3~6か月
 申立てから手続き終了まで:3~6か月

 

合計すると、通常は半年から1年程度で手続が完了します。
ただし、売却が困難な不動産がある場合 や債権者との債権額について争いがある場合には期間が長引く可能性があるので注意が必要です。
このような状況では、上記の標準期間を超えることも少なくありません。

 

まとめ

法人破産は、会社の運営が困難になった際の法的整理の手段です。
手続は弁護士と相談しながら慎重に進める必要があり、準備から完了まで通常6ヶ月から1年程度かかります。
会社の債務は手続終了とともに消滅しますが、代表者が連帯保証人の場合は別途対応が必要です。
法人破産を検討する際は、まずは弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

投稿者: 棚田 章弘

2025.07.04更新

会社経営が行き詰まり、債務の返済が困難になった場合の対応策として、法人破産という選択肢があります。
法人破産は裁判所を通じて会社を整理し、最終的に法人格を消滅させる制度です。
本記事では、法人破産の基礎知識から具体的な手続きの流れ、必要な期間までを詳しく解説します。

 

法人破産の基礎知識

支払いができない状態や、借金が資産を上回るなどの事情で、会社の運営を続けることができなくなった際の選択肢が法人破産です。
裁判所を通じた適切な手順で会社を整理し、最終的に会社を消滅させる制度です。
裁判所が指名する破産管財人によって、会社の財産を適切に管理し、換金処理を行い、定められた順序に従って債権者へ配分されます。

 

個人(自然人)の破産と法人破産の違いとは

個人が借金の返済に行き詰まった際に選択できる破産は、会社が選択する法人破産とは異なる特徴があります。
法人破産では会社の消滅と同時に債務が無くなる仕組みのため、免責手続きは不要です。
ただし、保有する財産は全て処分対象となります。
一方、個人の破産では裁判所による免責決定が必要となりますが、生活再建のための基礎となる財産を残すことは可能です。
具体的には、日用品や99万円以下の現金、生活保護を受ける権利などが残ります。
また、個人の場合は、未納の税金については支払い義務が継続します。
これは、法人破産との大きな違いのひとつです。

 

代表者も破産をする必要はあるのか?

法人破産をしても、代表者が自動的に破産する必要はありません。
ただし、代表者が会社の借入金などの連帯保証人となっている場合は、債務の支払い義務が個人に移るため、代表者も破産の手続きを検討しなくてはいけません。

 

法人破産手続きの進め方

法人破産は、定められた手順に従って確実に進める必要があります。
以下では、具体的な流れを解説します。

 

弁護士への相談から始める

法人破産は複雑な法的手続を伴うため、まずは弁護士への相談から始めることが重要です。
弁護士と相談することで、法人破産が最適な選択肢なのか、他に有効な方法がないのかを含めて、適切な判断が得られます。

 

法人破産申立ての事前準備を行う

法人破産が最適な選択肢と判断された場合、申立てに向けた準備作業を慎重に進めなくてはいけません。
企業の破産手続きは、個人の場合と比べてより迅速かつ秘密裏に行うことが必要です。
その理由は、債権者に事前に情報が漏れることで手続が混乱する可能性があるためです。また、従業員への情報開示も慎重に行う必要があります。
従業員を通じて債権者に情報が流出してしまうリスクを防ぐためです。
準備作業は弁護士と緊密に連携しながら、速やかに進めていきます。
特に従業員がいる会社の場合、申立ての直前に解雇手続を行うことが必要です。
また、会社財産の流出を防ぐため、収入・支出についても慎重が判断をしなくてはなりません。
このように破産申立ての準備には、細心の注意と適切なタイミングでの対応が求められます。

 

裁判所へ破産手続きを申立てる

必要な準備が整ったら、裁判所へ法人破産の手続開始を申し立てます。
会社の代表者が債務の連帯保証人となっている場合は、会社の破産申立てと同時に、代表者の自己破産も申し立てることが賢明です。

 

債務者審尋が行われる

裁判所は破産手続を開始するための要件を確認するため、債務者審尋を実施します。
この審尋では、裁判官とが、会社が破産申立てに至った経緯や状況について詳しく確認を行います。

 

破産手続が開始され破産管財人が選任される

裁判所が破産開始の要件を認めた場合、正式に破産手続が開始され、同時に破産管財人が選任されます。
管財人の選任により、会社の全ての財産に関する管理・処分の権限は管財人に移行するため、会社が独自に財産を処分することはできません。

 

定期的に債権者集会が実施される

破産管財人は、財産の調査や換金作業、債権者への配当などの実務を進めながら、およそ3か月ごとに債権者集会を開催します。
この集会では、破産手続の進行状況や財産の処理状況について、詳しい報告が行われます。

 

債権者への配当が実施される

破産管財人が会社の財産を換金処分した結果、配当可能な財産が確保できた場合、定められた順序に従い債権者への配当を行います。

 

破産手続が終了する

配当が完了した時点、あるいは配当できる財産がないと確定した時点で、破産手続は終了です。
手続の終了により、会社は法人としての資格を失い、同時に全ての債務も消滅します。

 

破産手続にかかる標準的な期間

破産手続の完了までにかかる期間は、会社の規模や資産状況によって大きく変動します。
一般的な目安は以下の通りです。

 

 弁護士への相談から申立てまで:3~6か月
 申立てから手続き終了まで:3~6か月

 

合計すると、通常は半年から1年程度で手続が完了します。
ただし、売却が困難な不動産がある場合 や債権者との債権額について争いがある場合には期間が長引く可能性があるので注意が必要です。
このような状況では、上記の標準期間を超えることも少なくありません。

 

まとめ

法人破産は、会社の運営が困難になった際の法的整理の手段です。
手続は弁護士と相談しながら慎重に進める必要があり、準備から完了まで通常6ヶ月から1年程度かかります。
会社の債務は手続終了とともに消滅しますが、代表者が連帯保証人の場合は別途対応が必要です。
法人破産を検討する際は、まずは弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

投稿者: 棚田 章弘

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