社員の給与を下げることはできる?「減給」の注意点とは
2026.02.06更新
従業員の賃金を減額する減給は、企業の経営状況の悪化や、従業員の規律違反に対して行われることがあります。
しかし、労働者の生活に直接影響を与える賃金には、労働基準法によって厳格なルールが定められています。
この記事では、企業が減給を行う際に避けるべき注意点や違法ではない減給について解説いたします。
減給とは?
減給とは、労働者の賃金から一定額を差し引くことです。
この減給には、従業員の不正行為や規律違反に対する制裁として行う懲戒処分としての減給と、会社の経営状況の悪化や、職務内容の変更などに伴い労働条件として行う場合があります。
懲戒処分としての減給は、労働基準法によってその上限が厳しく定められています。
一方で、労働条件の変更としての減給は、就業規則の変更や労働者との合意に基づいて行われるものです。
減給は、労働者の生活に直接影響を与えるため、会社は法律を遵守し、慎重に行わなければなりません。
減給する際の注意点
会社が従業員の賃金を減給する際には、以下の重要な注意点があります。
懲戒処分としての減給には上限がある
懲戒処分として減給を行う場合、労働基準法第91条により、その上限が厳しく定められています。
具体的には、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。
また、総額が、賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならないという制限もあります。
これらの制限を超えた減給は、法律違反となります。
この上限規制は、労働者の生活を保障し、会社による過度な制裁を防ぐために設けられています。
懲戒権の濫用にあたる可能性がある
減給の懲戒処分が、その行為の性質や情状に照らして客観的に合理的であると認められず、社会通念上相当ではないと判断された場合、それは懲戒権の濫用にあたります。
懲戒権の濫用と判断された場合、その減給処分は無効となります。
減給処分を行う際は、就業規則の懲戒規定に則り、適正な手続きと明確な理由をもって行う必要があります。
恣意的な減給処分は、裁判で会社の責任が追及されることになります。
労働者に減給への同意を求めるときは任意でなければならない
懲戒処分ではなく、労働条件の変更としての減給を行う場合、労働者の同意が必要となります。
この同意は、労働者の自由な意思に基づいて任意で行われたものでなければなりません。
会社が一方的に不利益な変更を押し付けたり、強要したりした場合、その同意は無効と判断される可能性があります。
労働者の同意を得る際は、減給の必要性や理由を十分に説明することが求められます。
違法でない減給の理由
減給が違法とならないためには、明確な根拠が必要です。
減給の懲戒処分を行う
就業規則に減給を伴う懲戒規定が定められており、従業員の規律違反や不正行為に対して、その規定に則って適正な手続きを踏んで行う減給は違法ではありません。
この場合、労働基準法が定める上限の範囲内であることが必要です。
出勤停止処分にあわせて減給する
出勤停止処分は、懲戒処分の1種であり、従業員を一定期間出勤させない処分です。
出勤停止期間中の賃金は、労働義務が免除されるため、会社は支払う必要がありません。
この場合、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき賃金が支払われないことになります。
これは違法な減給にはあたりません。
降格処分に伴って減給する
降格処分は、役職や職位を引き下げる措置の1種で、人事的な措置の場合と懲戒処分の場合があります。
就業規則に降格に伴う賃金の変更が規定されており、その規定に則って降格と同時に合理的な範囲内で賃金を引き下げることは、違法ではありません。
この場合、降格による賃金体系の変更であり、懲戒処分としての減給とは区別されます。
労働者と合意のもとに減給する
会社の経営悪化など、客観的な理由があり、労働者がその減給措置に納得し、書面で合意した場合は、違法ではありません。
この場合、労働者の自由な意思に基づく合意であることが重要です。
ただし、会社側が一方的に減給し、後に労働者が同意したと主張することは認められません。
まとめ
減給には、懲戒処分としての減給と、労働条件の変更としての減給があります。
懲戒処分としての減給には上限があり、超えた場合は法律違反となります。
減給が違法でないためには、就業規則に基づく懲戒処分であるか、または労働者との合意があることが必要です。
減給処分を行う際は、懲戒権の濫用にあたらないよう、慎重な判断が求められます。
労務問題でお困りの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。
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