【放置はリスク】問題社員に対応する際のポイント
2025.10.09更新
問題社員とは、会社のルールや指示に従わず、周囲の従業員に悪影響を及ぼしたり、会社の業務を妨害したりするなど、常識を逸脱した行動を取る従業員を指す俗称です。
今回は問題社員に対応する際のポイントについて解説します。
問題社員を放置するリスクとは?
問題社員の問題行動を放置することは、会社にとって次のようなリスクを伴います。
懲戒処分が難しくなる可能性がある
問題社員が問題行動を起こした場合、会社は就業規則に基づいて懲戒処分を検討できます。
しかし、問題行動を放置し、明確な指導や注意をせずにいると、いざ処分を検討する際に「なぜ今まで何も言わなかったのか」と従業員から反論される可能性があります。
また、裁判でも「処分に至るまでの経緯や証拠が不十分」と判断され、懲戒処分が無効になるリスクが高まります。
したがって会社は問題行動を放置せず、その都度、書面などで明確な注意や指導を行う必要があります。
会社の不利益になる言動が激化する
問題社員を放置すると、問題行動がエスカレートする可能性があります。
注意や指導をしないことで、「この会社は何をしても許される」と従業員が誤った認識を持ち、問題行動が激化することがあります。
これにより、会社全体の規律が乱れ、他の従業員が「なぜあの人だけ特別扱いされるのか」と不満を持つようになります。
会社の秩序が失われ、生産性の低下や離職率の上昇など、会社の不利益になる言動が激化するリスクが高まります。
問題社員に対応する際のポイント
問題社員に対応する際には、感情的にならず、以下のポイントを押さえて冷静に対応することが重要です。
ポイント①面談などでコミュニケーションを取る
問題社員に対する対応として、問題行動を起こした従業員と個別に面談を行い、話を聞く機会を設けることが考えられます。
面談を通じて、問題行動の背景にある原因を理解し、従業員に寄り添う姿勢を示すことで、改善の兆しが見えることもあります。
面談の内容は、後のトラブルに備えて日時や場所、話した内容を記録に残しておきましょう。 ポイント②適性をみて合意のうえ異動させる
問題社員の問題行動の原因が、現在の部署や業務内容とのミスマッチにある場合、本人の適性をみて、合意のうえ異動させることも有効な手段です。
従業員が新しい環境で心機一転、能力を発揮できる可能性もあります。
ただし、従業員の意に反する異動は、パワハラとみなされるリスクがあるため、必ず本人の同意を得て行うことが重要です。
ポイント③問題行動を行った場合には懲戒処分をする
問題行動が改善されない場合や、悪質な行為が繰り返される場合は、就業規則に基づき、懲戒処分を検討する必要があります。
懲戒処分は、懲戒解雇や諭旨解雇、減給、出勤停止など、その内容が多岐にわたります。
懲戒処分を行う際は、客観的な証拠に基づき、処分の内容が妥当なものであるか、法的な観点から慎重に判断する必要があります。
懲戒処分は、会社の規律を守るために必要な手段です。
問題社員を退職させることはできるのか?
問題社員の問題行動が改善されず、退職させたいと考えた場合、以下のような手段があります。
退職勧奨を行う
退職勧奨とは、会社が従業員に対し、自主的な退職を促す行為です。
解雇とは異なり、会社が一方的に雇用契約を終了させるものではなく、あくまで従業員の自主的な意思に基づく退職を促すものです。
退職勧奨を行う際は、退職条件を提示し、従業員が退職後の生活に不安を抱かないように配慮しましょう。
無理な退職勧奨は、パワハラや退職強要とみなされ、トラブルに発展するリスクがあるため、慎重に行う必要があります。
解雇を検討する
退職勧奨に応じない場合でも、改善が見込めない悪質なケースでは、解雇を検討することになります。
ただし、解雇は不当解雇と判断されるリスクが高いため、解雇に至るまでには慎重な手続きが必要です。解雇は従業員にとっては生活の糧を失うという大きな不利益を被るため、裁判所も解雇が有効とする判断には慎重になるからです。
解雇が有効と認められるには、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる必要があります。
具体的には、就業規則に定められた解雇事由に該当すること、その事由を裏付ける証拠があること、解雇に至るまでに指導や懲戒処分を重ねてきた経緯があることなどが求められます。
仮に、後の法的手続において解雇が認められない結果となった場合は、会社にとっては大きな不利益となります。
このため、解雇は、法的な観点から慎重に判断し、弁護士に相談しながら進めるべきでしょう。
まとめ
今回は、問題社員に対応するポイントについて解説しました。
どんなに問題行動がある社員だったとしても、労働者として法律で守られているため、すぐに退職させることはできません。
そのため、問題社員の対応についてどうすればいいのか分からない場合には、弁護士に確認のうえ、慎重に進めることをおすすめします。
お困りの方は、労働問題を得意としている弁護士に相談してみてください。
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