2015.05.20更新

例えば,浮気をした夫が妻に対して離婚請求をする場合,つまり,離婚原因を自ら作り出した配偶者から離婚を請求できるか,という問題があります。

 

自分から浮気をしておきながら,自分の浮気を理由離婚できるとするとそれは明らかに不公平ですね。

このため,最高裁は,昭和27年2月19日の判決で,不貞行為をした夫から妻への離婚請求を「不徳義」であるとして退けました。

 これが「踏んだり蹴ったり判決」といわれたもので,「もしかかる請求が是認されるならば、妻はまったく俗にいう踏んだり蹴ったりである。法はかくのごとき不徳義勝手気侭を許すものではない」として,最高裁は,浮気した夫からの離婚請求を認めませんでした。

 

 もっとも,その後,有責配偶者からの離婚請求を一切認めないのは妥当でない,として,昭和62年9月2日の判決で,別居期間などの一定要件を満たす場合には,有責配偶者からの離婚請求を認めています。

 どのような事情により,有責配偶者からの離婚の請求が認められるかは個別具体的な事情によりますが,別居期間の長さや幼い子供がいるかどうかが一つの目安となります。

 別居期間の長さは,少なくとも5~6年,事情によってはそれより長期が必要になります。事情によっては短い期間で認められる可能性はありますが,少なくとも1~2年の別居期間では難しいといえるでしょう。

投稿者: 棚田 章弘

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