2026.10.28更新

日本の法律では、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについて、防止措置を講じることが義務づけられています。
今回は、マタハラの定義と、義務化されているマタハラ防止措置・防止対策の内容について解説します。

 

マタハラとは?

マタニティハラスメント(マタハラ)とは、職場において行われる妊娠・出産等に関するハラスメント、および育児休業等に関するハラスメントの総称として用いられる言葉です。
育児休業等に関するハラスメントには、男性労働者が育児休業を取得しようとする際のパタニティハラスメント(パタハラ)も含まれます。
厚生労働省の指針によれば、これらのハラスメントは、上司や同僚からの言動によって、働く人の就業環境が害されることを指します。
マタハラには大きく分けて、次の2つのタイプがあります。

 

制度の利用に関するもの

マタハラのうち制度の利用に関するものとは、産前産後休業や育児休業、時短勤務などの法律で認められた制度の利用に対して、上司や同僚がそれを阻害する言動をとることです。
また、休業から復帰した際に、正当な理由なく不利益な扱いをすることも含まれます。

 

状態に関するもの

マタハラのうち状態に関するものとは、妊娠したこと、出産したこと、あるいはつわりなどの体調不良によって十分に働けない状態そのものに対しての嫌がらせのことです。
これは、本人が制度を利用しているかどうかに関わらず、妊娠・出産という事実を理由に行われる攻撃です。

 

マタハラ防止措置・防止対策の義務化

事業主は、職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するために、雇用管理上の必要な措置を講じなければなりません。
具体的に厚生労働省の指針で定められている措置として、以下の事項があります。

 

事業主の方針の明確化および周知・啓発

マタハラ防止措置として、企業がマタハラを許さない姿勢を明確にし、それを全従業員に浸透させる必要があります。
具体的には、就業規則や社内規定にマタハラ防止に関する条項を盛り込み、どのような行為がハラスメントに当たるのかを明記します。
その上で、ハラスメントを行った者に対しては、どのような懲戒処分を下すのかというルールも定めておきます。
これらを、社内報や掲示板、研修などを通じて、全従業員に周知徹底させることが重要です。

 

相談窓口の設置と適切な対応

企業はマタハラ防止措置として、従業員がマタハラを受けた際、あるいは発生する恐れがある際に相談できる窓口を設置していなければなりません。
さらに、ヒアリングの手順を定めたマニュアルを作成しておくことが望ましいとされます。
また、相談者のプライバシーが守られ、相談したことによってさらに不当な扱いを受けることがないよう、秘匿性を担保することが重要です。
弁護士と連携して窓口を設置することも、中立性を高めるための有効な手段となります。

 

ハラスメント発生時の迅速かつ適切な対応 <

マタハラが発生した場合には、事実関係を速やかに確認し、被害者と行為者の双方に対して適切な対応をとらなければなりません。
被害者に対しては、心理的なケアを行うとともに、必要に応じて配置転換や労働条件の調整などの配慮を行います。
行為者に対しては、あらかじめ定めた就業規則に基づき、厳正な処分を下す必要があります。
さらに、マタハラが起きた原因を分析し、再発防止策を講じることまでが義務に含まれます。

 

ハラスメントの原因や背景となる要因の解消

マタハラ防止措置として、ハラスメントが発生しやすい職場環境そのものを改善していく取り組みも求められます。
マタハラの多くは、周囲の従業員の業務負担が増えることへの不満から生じます。
そのため、業務分担を組織的に見直し、チーム全体でサポートし合えるような体制を整えることが、不満の蓄積を防ぐことにつながります。
また、育児休業等の制度内容について正しく理解を深めるための教育を行うことも効果的です。

 

不利益取扱いの禁止と従業員の努力義務

労働者が妊娠・出産したことや、産休・育休を請求・取得したことを理由に、解雇、雇い止め、降格、減給、不利益な配置転換などを行うことは、法律で固く禁じられています。
また、ハラスメントについて会社に相談したことや、調査に協力したことを理由に不利益な扱いをすることも禁止されています。
さらに、法律では、マタハラ防止対策における労働者の責務も定められています。
従業員にも、ハラスメント問題への関心を高め、他の労働者への言動に注意を払うとともに、事業主が講じる防止措置に協力するよう努める義務があります。

 

まとめ

今回は、マタハラ防止措置・防止対策の義務化について解説しました。
自社の規定が現在の法律に合致しているか不安を感じたり、具体的な対策の進め方に迷われたりした場合には、弁護士に相談することを検討してください。

 

投稿者: 棚田 章弘

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