2026.08.07更新

中古の家の売買では、代金を支払って住み始めた後に「雨漏りがする」「シロアリの被害で基礎が腐っている」といったことがわかり、揉め事になることがあります。
こうしたとき、修理費を負担するのは、売主なのか、買主なのかご存じでしょうか。
契約不適合責任とはどのようなもので、売主はどこまで責任を負わなければならないのかを解説します。

 

契約不適合責任とは

契約不適合責任は、民法の第562条で「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」に生じると規定されています。
つまり、購入したものが、契約した内容と違う場合、買主は修理や代金の減額、損害賠償請求、契約解除ができるということです。
買主は契約不適合を知ったときから、1年以内に売主に通知しなければなりません。
通知したうえで損害賠償請求や契約解除などの権利を行使します。

 

契約不適合の対象となる瑕疵

契約不適合の対象となる瑕疵は、大きく次の4つに分けられます。

 

● 物理的瑕疵
● 心理的瑕疵
● 環境的瑕疵
● 法律的瑕疵

 

それぞれ、不動産取引の場合、どのようなケースが当てはまるのかを説明しましょう。

 

物理的瑕疵

不動産取引で物理的瑕疵とは、建物の構造や設備の欠陥、損傷などのことです。
具体的には、雨漏りやシロアリ被害、配管の詰まり、外壁のひび割れなど、外見からわかるもののほか、耐震不足やアスベストの使用なども含まれます。

 

法律的瑕疵

法律によって所有権や利用が制限されてしまうことを法律的瑕疵といいます。
たとえば、土地や建物の利用は、都市計画法や建築基準法、消防法などによって規制されることが少なくありません。
こうした法律上の制約によって、契約書通りの使用や利用ができない場合、売主は責任を問われます。

 

環境的瑕疵

契約不適合の対象は土地や建物そのものだけではありません。
周辺の騒音や振動、異臭、日照や眺望の妨げなどが、取引上重要で、契約内容に適合しない恐れがある場合、買主は環境的瑕疵として売主の責任を問えることがあります。
また、近隣にごみ焼却場や廃棄物処理施設、火葬場、墓地などのほか、反社会的組織の事務所がある場合に契約不適合責任を問うことができる場合もあります。

 

心理的瑕疵

俗に「事故物件」などと呼ばれますが、過去に自殺や殺人、事故死などが起きていた事実があるにもかかわらず告知を怠った場合は、契約不適合の対象となります。

 

買主が請求できる4つの権利

不動産を購入した後、契約書にはなかった欠陥や問題が見つかった場合、買主はどのような対応ができるのでしょうか。
契約不適合で買主に認められている権利は、主に次の4つです。

 

● 損害賠償請求権
● 契約解除権
● 追完請求権
● 代金減額請求権

 

損害賠償請求権

損害賠償請求権は、瑕疵担保責任でも、買主に認められていましたが、契約不適合責任では少し内容が変わりました。
瑕疵担保責任においては、売主の故意や過失がなくても賠償請求が可能でしたが、契約不適合責任では、売主が故意に不都合な事実を隠したり、過失によって損害を与えたりしたのでなければ、賠償請求はできません。
一方で、契約不適合責任では損害賠償請求できる範囲が広がっています。
瑕疵担保責任では、契約が無効になったことで無駄となった費用や契約締結前の状態に戻すための費用に限られていました。
しかし、契約不適合責任では、営業利益や転売利益など、契約が履行されれば得られるはずだった利益も含まれることになりました。

 

契約解除権

瑕疵担保責任でも、買主が欠陥や問題を知らず、それによって契約目的を達成できない場合、契約解除が認められていました。
契約不適合責任では、契約内容に適合しない欠陥などがある場合、契約解除が可能です。
また、契約解除には、期間を区切って契約の履行を促す催告解除と、期間を設けずに契約を解除できる無催告解除があります。

 

追完請求権

追完請求とは、改めて完全な給付を請求するという意味で、具体的には修理や修復を要求することです。
たとえば、買った家が雨漏りしていた場合、契約書に「雨漏りがある」と書かれていなければ、住むことに支障が生じるため、売主に修理を求めることができます。
しかし、契約書に「雨漏りがある」と明記されていれば、請求はできません。
また、建物の築年数や管理状況などによっては契約不適合とは認められないこともあります。

 

代金減額請求権

代金減額請求権とは、買主が修理や修復を求めたのにもかかわらず、売主が対応しない場合、買主が代金の減額を請求できる権利です。
ただし、原則として修理や修復など求めることが先であり、いきなり代金の減額を求めることはできません。

 

まとめ

不動産は大きな買い物で、予定通りに使用や利用ができなければ、買主は多額の損失を被る恐れがあります。
それだけに不動産取引をめぐる争いは後を絶ちません。
民法の改正で買主の権利が拡大され、売主の責任は重くなるとともに、契約書の重要性も増しました。
契約書の内容によって、不利な取引にならないよう、不安があるときは弁護士に相談してみましょう。

 

投稿者: 棚田 章弘

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