2025.08.22更新

不動産にはさまざまな権利が存在し、法律上それぞれ明確に分類されています。
所有する、借りる、担保にするなど、不動産をめぐる権利関係は複雑であり、正確な理解が求められます。
各権利の内容や特徴を知っておくことで、不動産取引や相続、契約時のリスクを回避しやすくなります。
本記事では、代表的な不動産の権利について解説します。

 

不動産の権利

不動産には、所有や使用、担保などに関する多様な権利が存在いたします。
これらの権利は、法律上の分類に基づき、それぞれ独自の内容と効力を有しています。
ここでは、次の代表的な不動産の権利について解説していきたいと思います。

 

 所有権
 借地権
 抵当権
 質権
 先取特権
 地役権

 

各権利の特徴や違いを把握することで、不動産取引や相続、賃貸借契約などにおけるリスク管理や適切な対応に役立ちます。

 

所有権

所有権とは、不動産を自由に使用し、収益を得て、処分することができる最も包括的な権利です。
土地や建物を取得した場合には、通常この所有権が移転され、登記によって第三者に対する対抗力を備えます。
所有者は、他者の不法占拠に対して返還請求や妨害排除を求めることも可能です。

 

借地権

借地権とは、他人の土地を建物所有を目的として借りる権利です。
一般に「賃借権」と「地上権」の2種類に大別され、それぞれ権利の内容や登記の可否に違いがあります。

 

■賃借権
賃借権は、土地の所有者との賃貸借契約に基づいて発生する権利です。
この権利は、月々の賃借料を所有者に払うことで、土地を利用できる権利になります。
あくまで土地の所有者との契約を介した間接的な土地利用になるため、建物の転貸や譲渡は所有者の許諾が必要です。
また、賃借権に登記の義務はないため、一般的には登記されません。

 

■地上権
地上権は、他人の土地において建物や工作物を所有するために、物権として設定される権利です。
賃借権と異なり、地上権は登記をもって対抗力が認められ、譲渡や転貸も自由に行うことが可能です。
また、地上権の存続期間や更新についても、契約によって比較的柔軟に定めることができます。

 

■底地
底地とは、借地権が設定された土地から借地権の評価を除いた部分を指します。法律上明確に「底地」は定義されているわけではありませんが、取引上は底地という名称で呼ばれます。
借地権者が建物を所有している間、所有者は土地を自由に利用することが制限されます。
ただし、借地権の更新や譲渡に際しては、所有者の承諾が必要になり、一定の交渉力を持ちます。
また、底地を売却する場合には、借地権との関係性や価格の算定などに慎重な配慮が求められます。

 

抵当権

抵当権は、債権を担保する目的で不動産に設定される担保物権です。
債務者が債務を履行しない場合、抵当権者は不動産を競売して、その代金から弁済を受けることができます。
特徴として、不動産の使用や占有を必要とせず、債務の返済がなされている限り、所有者は自由に利用できます。
主に住宅ローンや事業用不動産の融資などで頻繁に利用される制度です。

 

質権

質権とは、債務の担保として債務者または第三者が不動産、動産や権利を引き渡すことにより成立する権利です。
債務者が返済を怠った場合、質権者は質物を売却して優先的に弁済を受けることができます。
ただし、不動産質権の場合は物の引渡しが原則であり、抵当権と比較すると制約が多いとされます。

 

先取特権

先取特権は、法律により他の債権者に先立って弁済を受けることが認められる担保物権です。
不動産に関する先取特権には、たとえば不動産工事費用に基づく先取特権などがあります。 不動産工事費用が支払われない場合は不動産工事費用の先取特権により回収ができることとなりますが、一方で、不動産工事費用の先取特権は、その効力を生じるためにはその費用の登記が必要であり、登記ができていないと先取特権は行使できません。
債権の内容や時期により、優先順位や実行の可否が異なるため、専門的な判断が求められます。

 

地役権

地役権は、ある土地の便益のために他人の土地を使用することを認める物権です。
たとえば、通行地役権は通路の確保、送水地役権は水路の設置などに用いられます。
地役権は土地に付随して移転し、要役地の所有者が変わっても効力を維持します。
また、登記によって第三者に対抗することが可能であり、地域開発や共同住宅の整備などにも利用されています。

 

まとめ

不動産に関する権利は、多岐にわたりそれぞれ異なる法的性質を持っています。
所有権や借地権のような使用権、抵当権や質権のような担保権、さらには地役権や先取特権といった特殊な権利まで、その種類は多様です。
それぞれの権利の内容や効力を正確に理解することは、不動産の取得や管理、取引において極めて重要です。
不明点や疑問がある場合には、弁護士への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

投稿者: 棚田 章弘

2025.08.12更新

相続が発生すると、相続人は被相続人の財産をどのように扱うかを選択する必要があります。
財産の内容は人それぞれで、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産が含まれることもあります。
こうした状況では「相続放棄」が望ましい場合があります。
本記事では、相続放棄の基本や注意点について解説いたします。

 

相続の手続き3つ

相続が発生すると、相続人は「単純承認」・「限定承認」・「相続放棄」の3つの手続きから選択することになります。
各手続きには特徴があり、被相続人の財産内容や状況に応じて適切な方法を選ぶことが重要です。

 

単純承認

単純承認とは、被相続人の財産をすべて無条件に受け継ぐ手続きです。
プラスの財産だけでなく、借金や保証債務などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。
特に手続きせずに財産を使ったり、一定期間が過ぎたりすると、自動的に単純承認したとみなされるため注意が必要です。
被相続人の財産状況が明確で、負債が少ない場合に選ばれることが多い方法です。

 

限定承認

限定承認は、相続によって得た財産の範囲内でのみ被相続人の債務を弁済することを認める制度です。
相続人全員が共同して家庭裁判所に申し立てる必要があります。
プラスの財産より借金が多い場合でも、相続財産の範囲内であれば借金を負担しなくて済む点がメリットです。
ただし、手続きが複雑で、税務上の負担が生じる可能性もあるため、専門家への相談が望ましいです。

 

相続放棄

相続放棄は、被相続人の財産や債務を一切引き継がない手続きです。
自分に相続が始まったことを知ってから原則3ヵ月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。
相続放棄が認められると、初めから相続人ではなかったものとみなされ、プラスの財産も債務も引き継がないことになります。

 

相続放棄の進め方

相続放棄をする場合は、家庭裁判所への申出が必要です。
申述書には、被相続人との関係や放棄の理由を明記し、戸籍謄本や相続関係を証明する書類を添付して提出します。
提出期限は、相続があったことを知ってから3ヵ月以内となっており、この期限を過ぎると単純承認したとみなされることがあります。
期限内に書類不備なく手続きを進めることが重要であり、不安がある場合は弁護士など専門家への相談が推奨されます。

 

相続放棄する際の注意点

相続放棄には主に2つの重要な注意点があります。

 

相続放棄は撤回できない

相続放棄は原則として一度申述して受理されると撤回できません。
相続放棄後にプラスの財産が見つかっても、放棄を取り消すことはできないため、放棄の判断は慎重に行う必要があります。
財産の全体像を把握しきれていない場合は、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てることも検討しましょう。

 

相続順位が変わる

相続放棄をすると、次の順位の相続人に権利と義務が移ります。
たとえば、子が相続放棄した場合、被相続人の兄弟姉妹などが新たな相続人になります。
相続放棄をしたことによって新たに相続人となる親族が放棄の手続きを怠れば、意図せずに借金を相続してしまうおそれもあります。
このように、放棄の影響が他の親族に及ぶことがあるため、事前に親族間で情報共有することが望ましいです。

 

相続放棄したほうがいいケース

相続放棄は、借金が多い場合や管理が難しい財産を抱える場合など、特定の状況では有効な選択肢となります。

 

負債が多いとき

被相続人が多額の借金を抱えていた場合、相続放棄を選ぶことが合理的です。
相続すると、借金の返済義務も引き継がれるため、経済的な負担を回避するために放棄を選択する相続人が少なくありません。
クレジットカードの未払金や金融機関からの借入金、保証人になっていた債務など、後から判明する負債もあるため、相続財産の調査は慎重に行うべきです。
財産よりも明らかに負債が多い場合は、早めに相続放棄の手続きを進めることが推奨されます。

 

固定資産の維持が大変なとき

相続財産に空き家や山林、農地などの固定資産が含まれている場合、その維持管理が大きな負担となることがあります。
固定資産税や補修費用のほか、処分に時間や費用がかかるケースも少なくありません。
このような不動産を相続した場合、資産価値が低いと維持する意味が薄く、放棄を検討する余地があります。
将来的なトラブルを避けるためにも、専門家と相談しながら判断することが大切です。

 

まとめ

相続の手続きには、単純承認、限定承認、相続放棄の3種類があります。
その中でも相続放棄は、借金や管理困難な財産を避けるための有効な手段です。
しかし、手続きには期限があり、一度放棄すると原則として撤回できないという重要な注意点もあります。
相続放棄を検討する際には、事前に財産の状況を把握し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

投稿者: 棚田 章弘

2025.07.18更新

顧問弁護士とは、企業や個人事業主が継続的な法律相談や法的支援を受けるために契約する弁護士を指します。
通常は月額の顧問料を支払い、必要なときにすぐ相談できる体制を整えるものです。
契約書の確認や従業員とのトラブル予防など、日常業務において生じる法的リスクへの対応が可能です。
経営の意思決定に際し、法的判断を要する場面は少なくありません。
そのようなときに信頼できる専門家が身近にいることは、大きな安心材料となります。
この記事では、顧問弁護士のメリットについてご説明していきたいと思います。

 

顧問弁護士は必要?

顧問弁護士の必要性は、企業の規模や業種にかかわらず高まっています。
取引先との契約、顧客対応、従業員の労務管理など、企業活動の多くが法律と関わるからです。
その都度弁護士を探して依頼する方法では、緊急時に迅速な対応が難しくなるおそれがあります。
一方で、顧問契約を結んでいれば、事情を把握した弁護士と継続的な関係があるため、迅速かつ的確な助言が得られます。
日常的な相談が可能となることで、問題を未然に防ぐ効果も期待できます。
とりわけ中小企業やスタートアップにとって、法的トラブルが事業継続に直結するリスクであることを踏まえると、顧問弁護士の存在は極めて重要といえるでしょう。

 

顧問弁護士がいることのメリット

顧問弁護士を持つことで、企業が直面する法的リスクを軽減し、的確な経営判断を支援してもらえます。
契約書や社内規程の確認、コンプライアンス対応などを通じて、法的な問題の芽を事前に摘むことが可能です。
また、クレームや労務問題、取引先とのトラブルが発生した場合にも、早い段階で対応策を講じられるため、被害の拡大を防げます。
継続的なサポートを受けることで、経営者が一人で判断を抱え込まずに済み、本来の業務に専念できる環境が整うというのもメリットです。
法的な不安を軽減し、安定した企業運営を支える大きな支柱となります。

 

法的なトラブルについて気軽に相談できる

顧問弁護士がいれば、日々の業務で発生するちょっとした疑問や不安も気軽に相談できます。
スポットでの依頼では尋ねづらい内容でも、顧問契約があれば相談の心理的ハードルが下がります。
たとえば、クレーム対応時の言い回し、契約書の文言確認、就業規則の改定など、初期段階で相談することで大きな問題への発展を防げます。
定期的な打ち合わせや情報共有を通じて、弁護士側も企業の方針や背景を把握しやすくなり、より的確なアドバイスが得られるというメリットがあります。
結果として、迅速で適切な対応が可能となり、企業のリスク軽減と業務の円滑化に貢献します。

 

法的なトラブルへの予防が可能

顧問弁護士がいることにより、日常的に法的リスクを点検・予防する体制がを整えることができます。
たとえば、取引契約書のリスクチェック、社内規程の法令適合性の確認、労働条件に関する助言など、幅広く対応が可能です。
最近では、ハラスメント対策やSNS運用に関する法的配慮なども求められており、企業の信頼性を保つためには日常的な法的視点が欠かせません。
顧問弁護士は、問題が顕在化する前の段階で、適切な助言を通じてトラブルを未然に防ぎます。
万が一トラブルが発生した場合でも、事前の備えにより損害の拡大を抑えることが期待できます。
このように、予防的な法務支援は企業経営の安定と成長に直結するというメリットもあります。

 

交渉や紛争に対応する手間が省ける

紛争が発生した際、顧問弁護士がいれば初動対応が迅速かつ的確に行えます。
日頃から企業の事業内容や経営状況を理解しているため、背景説明に時間を割く必要がなく、スムーズに対応が始められます。
たとえば、契約違反や代金未払い、労務トラブルなどの事案でも、弁護士が交渉の窓口となることで、感情的な対立を避けながら冷静な解決が図れます。
また、訴訟に発展した場合でも、既に信頼関係のある弁護士に依頼できるため、準備の負担などを軽減することが可能です。

 

まとめ

顧問弁護士は、企業法務の伴走者として、経営の安定と成長を支える存在です。
継続的に相談できる体制を整えることで、日々の業務における小さな法的課題にも対応でき、大きなトラブルを未然に防げます。
契約書の確認、労務管理、法改正への対応など、幅広い分野で助言を受けられることは企業にとって大きな強みです。
また、企業の方針や業務内容を理解したうえで助言を受けられるため、より実務に即した対応が可能となります。
トラブル発生時にもスピーディーな対応が可能であり、精神的な負担を軽減する効果もあります。
顧問弁護士の活用は、法的な安心感と経営判断の正確性を両立する手段といえるため、これを機に顧問弁護士を企業に導入するべきか、ご検討してみてはいかがでしょうか。

投稿者: 棚田 章弘

2025.07.04更新

会社経営が行き詰まり、債務の返済が困難になった場合の対応策として、法人破産という選択肢があります。
法人破産は裁判所を通じて会社を整理し、最終的に法人格を消滅させる制度です。
本記事では、法人破産の基礎知識から具体的な手続きの流れ、必要な期間までを詳しく解説します。

 

法人破産の基礎知識

支払いができない状態や、借金が資産を上回るなどの事情で、会社の運営を続けることができなくなった際の選択肢が法人破産です。
裁判所を通じた適切な手順で会社を整理し、最終的に会社を消滅させる制度です。
裁判所が指名する破産管財人によって、会社の財産を適切に管理し、換金処理を行い、定められた順序に従って債権者へ配分されます。

 

個人(自然人)の破産と法人破産の違いとは

個人が借金の返済に行き詰まった際に選択できる破産は、会社が選択する法人破産とは異なる特徴があります。
法人破産では会社の消滅と同時に債務が無くなる仕組みのため、免責手続きは不要です。
ただし、保有する財産は全て処分対象となります。
一方、個人の破産では裁判所による免責決定が必要となりますが、生活再建のための基礎となる財産を残すことは可能です。
具体的には、日用品や99万円以下の現金、生活保護を受ける権利などが残ります。
また、個人の場合は、未納の税金については支払い義務が継続します。
これは、法人破産との大きな違いのひとつです。

 

代表者も破産をする必要はあるのか?

法人破産をしても、代表者が自動的に破産する必要はありません。
ただし、代表者が会社の借入金などの連帯保証人となっている場合は、債務の支払い義務が個人に移るため、代表者も破産の手続きを検討しなくてはいけません。

 

法人破産手続きの進め方

法人破産は、定められた手順に従って確実に進める必要があります。
以下では、具体的な流れを解説します。

 

弁護士への相談から始める

法人破産は複雑な法的手続を伴うため、まずは弁護士への相談から始めることが重要です。
弁護士と相談することで、法人破産が最適な選択肢なのか、他に有効な方法がないのかを含めて、適切な判断が得られます。

 

法人破産申立ての事前準備を行う

法人破産が最適な選択肢と判断された場合、申立てに向けた準備作業を慎重に進めなくてはいけません。
企業の破産手続きは、個人の場合と比べてより迅速かつ秘密裏に行うことが必要です。
その理由は、債権者に事前に情報が漏れることで手続が混乱する可能性があるためです。また、従業員への情報開示も慎重に行う必要があります。
従業員を通じて債権者に情報が流出してしまうリスクを防ぐためです。
準備作業は弁護士と緊密に連携しながら、速やかに進めていきます。
特に従業員がいる会社の場合、申立ての直前に解雇手続を行うことが必要です。
また、会社財産の流出を防ぐため、収入・支出についても慎重が判断をしなくてはなりません。
このように破産申立ての準備には、細心の注意と適切なタイミングでの対応が求められます。

 

裁判所へ破産手続きを申立てる

必要な準備が整ったら、裁判所へ法人破産の手続開始を申し立てます。
会社の代表者が債務の連帯保証人となっている場合は、会社の破産申立てと同時に、代表者の自己破産も申し立てることが賢明です。

 

債務者審尋が行われる

裁判所は破産手続を開始するための要件を確認するため、債務者審尋を実施します。
この審尋では、裁判官とが、会社が破産申立てに至った経緯や状況について詳しく確認を行います。

 

破産手続が開始され破産管財人が選任される

裁判所が破産開始の要件を認めた場合、正式に破産手続が開始され、同時に破産管財人が選任されます。
管財人の選任により、会社の全ての財産に関する管理・処分の権限は管財人に移行するため、会社が独自に財産を処分することはできません。

 

定期的に債権者集会が実施される

破産管財人は、財産の調査や換金作業、債権者への配当などの実務を進めながら、およそ3か月ごとに債権者集会を開催します。
この集会では、破産手続の進行状況や財産の処理状況について、詳しい報告が行われます。

 

債権者への配当が実施される

破産管財人が会社の財産を換金処分した結果、配当可能な財産が確保できた場合、定められた順序に従い債権者への配当を行います。

 

破産手続が終了する

配当が完了した時点、あるいは配当できる財産がないと確定した時点で、破産手続は終了です。
手続の終了により、会社は法人としての資格を失い、同時に全ての債務も消滅します。

 

破産手続にかかる標準的な期間

破産手続の完了までにかかる期間は、会社の規模や資産状況によって大きく変動します。
一般的な目安は以下の通りです。

 

 弁護士への相談から申立てまで:3~6か月
 申立てから手続き終了まで:3~6か月

 

合計すると、通常は半年から1年程度で手続が完了します。
ただし、売却が困難な不動産がある場合 や債権者との債権額について争いがある場合には期間が長引く可能性があるので注意が必要です。
このような状況では、上記の標準期間を超えることも少なくありません。

 

まとめ

法人破産は、会社の運営が困難になった際の法的整理の手段です。
手続は弁護士と相談しながら慎重に進める必要があり、準備から完了まで通常6ヶ月から1年程度かかります。
会社の債務は手続終了とともに消滅しますが、代表者が連帯保証人の場合は別途対応が必要です。
法人破産を検討する際は、まずは弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

投稿者: 棚田 章弘

2024.12.27更新

不動産オーナーの賃貸トラブルが発生した際に、最も頼りになる存在が弁護士です。
家賃の滞納は放っておくと取り換えしのつかないトラブルにつながるため、早急に対処が必要です。
本記事では、家賃回収の対象方法から、家賃滞納を防ぐ方法を解説していきます。

 

家賃滞納による法的措置には、適切なステップを踏む必要がある

アパートの入居率を高め、空室がない状況の維持が賃貸経営においてとても重要です。
しかし、家賃滞納による家賃回収ができない状況が常態化すると、所有物件に空室がある以上に賃貸経営においては深刻な問題です。
入居者の権利が強く保護されているため、対応が発生したからと言ってすぐに退去とはならず、適切な対処を段階的に取り続けることで、法的措置を円滑に進められます。

 

家賃滞納から法的措置による家賃回収の流れ

実際に家賃滞納が発生した場合には、明け渡し訴訟を視野に入れたとしても最初の家賃滞納が発覚してから6ヶ月以上かかる場合が予想されるため、家賃回収対応は速やかに行わなければなりません。
ここでは家賃滞納が発生した際に、法的措置による家賃回収に着手するまでの流れを解説いたします。

 

管理会社へ連絡し督促を依頼

管理会社に物件の管理を任せている場合で家賃滞納が確認された場合には、管理会社にすぐに連絡します。
管理会社はオーナーに代わり賃貸管理業務を担い、入居者への対応を代行してくれるため、家賃滞納が確認された後の対応を任せられます。

 

入居者へ連絡する

家賃滞納が確認されたらすぐに、入居者へ連絡しましょう。
家賃滞納の多くの原因は、引き落とし日の勘違いや残高確認不足など、金銭的な原因以外がほとんどです。
この時点では督促するわけではなく、まずは支払いの意志や態度の確認という意味の丁寧なニュアンスで連絡するようにしましょう。
その際に、度重なる連絡や早朝・深夜の連絡行為は禁止行為となるため注意が必要です。

 

入居者への督促状の送付

入居者が1週間に渡って電話での連絡に応じず、約束された期日までに家賃の支払いが確認できない場合には、書面での督促状を送付します。
督促状には下記の内容を記載の上、送付します。

 

● 期日
● 振込先
● 滞納家賃の金額
● 物件名と部屋番号

 

しかし、初回の督促送付では、入居者が意図しない滞納の可能性もあるため、もう一度「お知らせ」という形での通知がおすすめです。
初回の督促送付後にも1週間以上、入金または連絡がない場合には改めて期日を定めた督促状を送付します。
滞納が1ヶ月以上続き、家賃の支払いが確認されない場合には、次に解説する連帯保証人への賃料請求の督促を行う旨を記載します。
多くの入居者は連帯保証人への連絡を嫌がるため、家賃支払いを促せる可能性があります。

 

連帯保証人への賃料請求の督促

入居者からの連絡や支払いが確認できない場合、連帯保証人へ連絡します。
本来はほとんどの賃貸契約において、家賃滞納が確認された時点ですぐに連帯保証人への請求が可能です。
しかし、入居者の勘違いによる支払い忘れの可能性もあるため、前述の入居者への督促後をおすすめしています。
また、連帯保証人への連絡の際も、あくまで督促の段階であるため、緊急性や重要度が伝わるような文言を交えながらも、丁寧な表現を心がけることが大切です。
連絡自体は電話でも書面でも構いません。

 

契約解除の催告書を内容証明郵便で送付

催告書には以下の内容を記載します。

 

● 家賃の支払い期限
● 支払い家賃総額
● 遅延損害金額
● 契約解除または立ち退き要求を示唆する文言 等

 

上記の書面を内容証明郵便にて送付します。
郵便局が発行する内容証明郵便は効力が高く、裁判や支払い督促の際にも強力な証拠となり得ます。

 

明け渡し訴訟の申立て

ここまでの段階で家賃支払いも任意退去にも応じようとしない場合、法的措置の行使に移ります。
今回は明け渡し訴訟を例に解説します。
この段階に至るまでに、適切な対処を取りながらも入居者からの支払いが行われなかったという証拠が揃っているため、強制執行の判決が出る可能性が高いです。
明け渡し訴訟では強制退去や滞納家賃及び遅延損害金の回収もできる可能性があるため、手続きは煩雑ではあるものの、非常に強力な法的措置になります。

 

その他の法的手段について

明け渡し訴訟以外にも以下の2つの法的手段が選択できます。

 

支払督促

支払督促は簡易裁判所に申立て、書類審査のみで手続きが可能であるため、費用を抑えながら家賃回収ができます。
また、手続きが段階的ではあるものの、入居者からの異議がなければ最終的に強制執行も可能です。

 

少額訴訟

滞納金額が60万円以下の場合には、少額訴訟の検討もおすすめしています。
原則1回の審理で判決が出され、訴訟中であっても双方での話し合いや、和解に基づいた強制執行も可能です。

 

まとめ

家賃回収についての法的措置までには、段階的に対処を進めなければなりません。
また、実際に法的措置を取る場合にも、提出書類の作成や証拠の準備などが必要となるため、賃貸トラブルに強い弁護士への相談をおすすめしています。

投稿者: 棚田 章弘

2024.12.11更新

被相続人の遺産の相続方法は、単純承認、限定承認、相続放棄の3種類があります。
通常の相続方法は、単純承認で問題ありませんが、被相続人が多額の借金を抱えていた場合などは、限定承認、相続放棄を選択すべきこともあります。
本稿では、3種類の相続方法をどのように使い分けたらよいのか解説します。

 

3種類の相続方法

相続というと、被相続人(亡くなった人)の遺産を相続人が承継するというだけで、相続方法にはさまざまな種類があるという話はピンとこないかもしれません。
民法には、遺産をどのような形で相続するかという観点から、次の3種類の相続方法が規定されています。

 

 単純承認
 限定承認
 相続放棄

 

それぞれ確認していきましょう。

 

単純承認とは

被相続人の遺産は、相続人が当然に相続するわけではなく、相続するかどうかは相続人が選択することができます。
相続人が相続する場合は承認、相続しない場合は相続放棄になります。

単純承認とは、相続人が被相続人の遺産を単純に相続する場合です。
被相続人の遺産とは、プラスの遺産だけでなくマイナスの遺産、たとえば、借金や債務なども含まれます。
よって、単純承認した場合は、借金も相続することになるため、被相続人の債権者に対して弁済しなければならなくなります。

 

単純承認の方法

単純承認する場合は、単純承認する旨を宣言することもできますが、単純承認する方法については特に決まりはありません。
ただ、次の事由が生じた場合は、法定単純承認として、単純承認をしたものとみなされます。

 

 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。
 相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

 

一般的には、相続開始から3ヶ月経過すると、自動的に単純承認したことになります。
逆に、単純承認したくない場合、たとえば、借金も相続したくない場合は、3ヶ月以内に限定承認か相続放棄の手続きを行う必要があります。

 

限定承認とは

限定承認とは、被相続人の遺産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることです。
たとえば、被相続人の遺産にプラスの遺産とマイナスの遺産があり、債務超過の状態にあるのか、債務を弁済してもプラスの遺産が残るのかわかりにくいこともあります。
このような場合に、相続開始から3ヶ月で判断することは難しいこともあるため、限定承認することがあります。

 

限定承認の方法

限定承認する場合は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。
その際は、申述書と相続財産の目録を作成して提出する必要があります。
なお、限定承認は、相続人の全員が共同してしなければなりません。
被相続人の遺産を相続前に清算する意味があるため、一人でも反対していると限定承認の手続きを進めることができないからです。

 

相続放棄

相続放棄とは、被相続人の遺産を相続しない場合です。
プラスの遺産はもちろん、マイナスの遺産も相続しないので、被相続人の遺産が債務超過の状態にある場合に相続放棄を選択します。
相続放棄した場合は、初めから相続人とならなかったものとみなされます。
また、相続放棄した相続人の直系卑属が代襲相続することはありません。

 

相続放棄の方法

相続放棄する場合は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。
相続人が相続放棄すると宣言するだけでは、相続放棄したことにならないため注意が必要です。
また、「相続分がないことの証明書」等の書類に署名しただけでは、プラスの遺産を相続しない意思表示を示したことにはなりますが、マイナスの遺産は、署名した人の意志とは関係なく、当然に相続してしまいます。
そのため、被相続人の借金を相続したくない場合は、家庭裁判所に申述することが重要になります。

 

3種類の相続方法を選択するまでの流れ

単純承認、限定承認、相続放棄のいずれを選択するかは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に決めなければなりません。
3ヶ月間の流れは次のとおりです。

 

1. 被相続人が亡くなったことを知らされる
2. 戸籍調査を行い法定相続人を確定する
3. 被相続人の相続財産の調査を行う
4. 単純承認、限定承認、相続放棄のいずれを選択する

 

被相続人が亡くなったことを知らされる

ほとんどの法定相続人には亡くなった日に知らせが行くと思います。
そのため、一般的には亡くなった日が3ヶ月の起算点になります。

 

戸籍調査を行い法定相続人を確定する

被相続人が生まれてから亡くなるまでの間の戸籍謄本等を集めて、相続関係図を作成して、法定相続人を確定します。
被相続人が何度か婚姻を繰り返している場合は、前の配偶者との間に子がいることが判明したり、隠し子が発覚することもあります。
連絡を受けた時点で相続人になったことを知った人はその時点が3ヶ月の起算点になります。

 

被相続人の相続財産の調査を行う

被相続人の相続財産を確認したうえで、財産目録の形にまとめます。
プラスの財産はもちろん、マイナスの財産ももれなく調べましょう。

 

単純承認、限定承認、相続放棄のいずれを選択する

被相続人の相続財産の調査結果を見て、3つの相続方法のいずれを選択するか判断します。
単純承認と相続放棄は、相続人一人ひとりが個別に行うことができます。
限定承認の場合のみ、相続人全員が一致して行わなければなりません。

 

まとめ

相続方法には、単純承認、限定承認、相続放棄の3種類があります。
いずれの方法を選択するにしても、その前提として、法定相続人の確定、相続財産の調査といった事務作業を3ヶ月以内に済ませなければなりません。
被相続人が亡くなった直後に落ち着いて、相続財産の調査を行うことは難しいこともあるため、弁護士などの専門家に相談しましょう。

投稿者: 棚田 章弘

2024.11.07更新

近年、電子契約書の利用が広がっています。
電子契約書の利用は業務の効率化やコスト削減につながりますが、注意すべきポイントも存在します。
電子契約書のメリット・デメリットを把握し、業務に役立ててください。

 

電子契約書とは

電子契約書とは、インターネット上で使用する契約書です。
オンラインで契約書の作成から締結まで行えるため、業務の効率化を図れます。
電子契約書を用いた契約は、国や地方自治体などでも導入されています。

 

電子契約書の法的な証拠力

電子署名法では、電子署名を利用した文書には書面での契約と同様に法的な証拠力があるとされています。

電子契約書では、印鑑での押印の代わりに電子署名を利用します。
電子署名は文書を暗号化する仕組みによって、文書の作成者が誰であるかを証明するシステムです。
また印鑑証明書の代わりに電子証明書を利用します。
電子証明書は認証局などが発行するもので、電子的な身分証明書です。

さらにタイムスタンプを付与することで、次の内容が証明されます。

 

● タイムスタンプ付与時にデータが存在していた
● タイムスタンプ付与時からデータの編集が行われていない

 

これらを併用することで、文書作成者のなりすましやデータの改ざんが行われていないことを証明でき、法的な証拠力が担保されます。

 

電子契約書のメリット

電子契約書を利用することで、事業者は次のようなメリットを得られます。

 

保存性に優れている

書面による契約書と違い、電子契約書はサーバー上に保存されるため、オフィスに保管場所を用意する必要がありません。
ファイリングする手間もなく、過去に結んだ契約書を検索することも容易です。
さらに契約書の物理的な劣化が起こらず、紛失するリスクもありません。

 

収入印紙が必要ない

電子契約書による契約は印紙税が課税されません。
書面で契約書を作成する場合には収入印紙の貼り付けが必要となりますが、電子証明書では収入印紙の貼り付けも、別途納税する必要もありません。

大口の契約ではとくに印紙税が高額になるため、電子契約書を利用することで大きな節約効果が生まれます。

 

効率化を図れる

電子契約書はオンラインで送付できるため、郵送代を節約できます。
契約書の送付や返送にかかる時間や事務的な手間も削減でき、スピーディーな取引が可能です。
リモートワークをしている場合にも、事務処理のために出社する必要がありません。

 

不正を防止できる

電子署名やタイムスタンプを利用することで、電子契約書の作成者や作成日時を証明できます。
これにより、改ざんのリスクを下げることが可能です。

さらに電子契約のサービスによっては、契約書の閲覧制限やアクセスログなどが利用できることもあります。
そういったサービスを利用することで、より強力なセキュリティ対策ができます。

 

電子契約書のデメリット

ただし電子契約書には次のようなデメリットも存在します。

 

取引先が電子契約書の利用に応じない可能性がある

電子契約書を利用するためには、電子署名や電子証明書を使用できる環境整備が必要になります。
取引先がシステムに対応していない場合には利用できません。

また取引先が電子契約書の安全性を疑問視し、書面での契約を求めてくることもあります。
電子契約書利用の合意を得られなければ、書面で対応せざるを得ません。

取引先ごとに書面契約と電子契約を使い分けている場合、社内業務が煩雑化し、かえって手間がかかる恐れもあります。

 

サイバー攻撃などのリスクがある

契約書がサーバーに保存されているため、サイバー攻撃やウイルス感染などによって機密情報が洩れてしまうリスクがあります。
常に最新のウイルス対策やセキュリティ対策が必要です。

 

電子契約の法律に対応する必要がある

電子契約書を利用するには、書面で行う契約とは違う法律にも対応しなければいけません。
電子契約には次のような法律があります。

 

● 電子署名法
● 電子契約法
● e-文書法
● デジタル改革関連法
● 電子帳簿保存法

 

たとえばe-文書法では、文書の電子保存について次の要件を満たすよう定められています。

 

● 見読性
● 完全性
● 機密性
● 検索性

 

電子契約の導入は過渡期にあります。
法律の改正も行われているため、常に正しい契約書を作成できているか、正しく保管できているかの確認が必要です。

 

電子契約書に対応していない契約がある

一部の契約では、書面による契約書の作成・交付が義務付けられています。
その場合、電子契約書は利用できません。
ただし将来的に法改正によって電子契約が可能となることも考えられます。
最新の法律に注意が必要です。

 

まとめ

この記事では電子契約書のメリット・デメリットについて解説しました。
電子契約書を利用することで作業を効率化でき、改ざん防止などのセキュリティ対策もできます。
ただし取引先の同意がなければ利用できません。
また、電子契約書に関するすべての法律に対応する必要があります。
電子契約書の導入、トラブル対応は弁護士にご相談ください。

投稿者: 棚田 章弘

2024.10.18更新

不動産賃貸のオーナーは、賃料滞納問題を抱えてしまうケースがあります。
滞納者は決められた日に賃料を払う契約ですが、何らかの理由で払ってもらえないと困ります。
今回は効果的な建物明渡請求について詳しく解説します。

 

建物明渡請求

賃貸借契約は貸主と借主が結ぶ契約で、信頼のうえに成立します。
しかし、賃料の滞納などを理由に信頼が乏しくなるケースがあるでしょう。
建物明渡請求は物件の明け渡しを求めるための法的な手続きです。

 

認められるのは滞納が2ヶ月以上続いたとき

建物明渡請求が認められるのは、具体的な事情にもよりますが、賃料の滞納が2ヶ月以上続いた場合や、信頼性が欠如し契約の維持が難しいと判断された場合です。
ただし、単に賃料が徴収できなかっただけでは、すぐに明渡請求が認められる可能性は低いです。

 

動いてくれる範囲

法律事務所は相談や出廷、明渡完了までサポートしてくれます。
不動産問題解決のために、任意交渉したけれども、進展が難しい場合、頼りになるのが専門家の弁護士です。
不動産を取り扱う法律事務所にまずは、相談してみましょう。

 

滞納者に立ち退きを請求する

滞納が続けば、立ち退いてもらうよう促します。
滞納者が立ち退きを言い渡された後、速やかに部屋を明け渡してくれれば、次の借主から賃料を得られます。

 

立ち退きを命じる方法

任意で交渉をしたり裁判で強制的に退去を求めたりする方法もあります。
滞納者に、どの程度退去してもらいたいのか、また賃料が回収できる可能性によって交渉方法は変わるでしょう。

 

立ち退き請求に応じない

立退交渉がうまく進まないケースもあります。
相手が交渉に応じないなら、裁判を行う必要性が高くなるでしょう。
裁判所の手続きによるべきという自力救済の禁止という原則があるからです。
勝手に家具を処分したり、鍵の交換により部屋に入れなくしたりする問題を防ぐためにあります。

 

滞納者に明け渡しを請求する

一般的な賃料滞納による明け渡しを請求する流れを紹介します。

 

簡単な流れ

明渡請求の簡単な流れは以下の通りです。

● 内容証明郵便で賃料の一括払いを請求
● 一括払いの期限設定
● 期限内に支払わない場合は賃貸借契約の解除
● 任意に明け渡さないなら明渡訴訟を起こす
● 裁判で明渡が認められる
● 明渡の強行執行

賃料を滞納している事実が判決をくだす可能性を高めるでしょう。

 

明渡請求決定後の課題

裁判で明渡が認められても課題が残ることもあります。
たとえば明け渡し後部屋を確認したら家具などが置きっぱなしになっていたり、退去しない状態が続いたりすることもあるでしょう。

 

明渡執行

裁判所の執行官に対して明渡強制執行の申し立てを行う必要があります。
執行から完全に明け渡すまで、概ね2ヶ月は見積もっておくといいでしょう。

 

滞納した賃料は保証される?

さて滞納された賃料は保証されるのでしょうか。
滞納者が行方不明になった場合本人からの徴収は難しいですし、行方を探す手間や時間も要します。
賃料の回収が難しいことを考えると、賃料の滞納が始まった早期の段階できちんと対処をしておくことが大切です。
滞納が進んでから明渡しをしてもらうと回収できない滞納額が大きくなるからです。
滞納額が大きい場合と小さい場合とで明け渡しにかかる費用は変わりませんから、滞納額が小さいときに対処するのが重要になるわけです。

なお、賃料を保証してくれる会社もあります。

 

保証してくれる機関

家賃を保証してくれる家賃保証会社は滞納に対して立替払いしてくれるため、安心です。
契約する際に保証人を立てるケースもありますが、親や親族が保証人要件を満たさなかったり周囲の人に保証人を頼みにくかったりする際に利用します。
賃貸保証会社の利用は、オーナーが決めるのが一般的で最近の賃貸物件は、賃貸保証会社の利用を義務付けているケースも多くなっています。

 

まとめ

家賃滞納に困っているオーナー様向けに解決方法を紹介しました。
ご相談から出廷、明渡完了まで心強いサポートは専門機関である法律事務所です。
不動産の賃貸トラブルや共有解消、賃料増額減額請求をご検討中でしたら、棚田法律事務所にご相談ください。

 

投稿者: 棚田 章弘

2024.10.17更新

遺留分を侵害されている場合は、遺留分侵害額請求を行う必要がありますが、行使期間が限られているため、迅速な対応が必要です。
今回は遺留分とは何か、また遺留分侵害額請求権の行使方法について解説します。

遺留分とは

遺留分とは法定相続人の最低限の取り分のことです。法定相続人には民法の規定に従い、相続分の割合が決められていますが、被相続人が生前贈与を行っていたり遺言により遺贈先を決めていた場合は相続することができません。
この場合でも、遺留分に相当する分は、受贈者等に対して請求することができます。

 

遺留分を有する法定相続人とは

遺留分を有する法定相続人は、兄弟姉妹以外の法定相続人です。

 

● 配偶者
● 直系卑属(子・孫など)
● 直系尊属(両親・祖父母)

 

被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。
そのため、被相続人の法定相続人が配偶者と兄弟姉妹だけの場合は、遺言書を残すことで、配偶者に全遺産を相続させることができます。

 

遺留分の割合は

原則として、それぞれの法定相続分の2分の1です。
たとえば、配偶者と子3名が法定相続人の場合は、法定相続分と遺留分はそれぞれ次のようになります。

 

  法定相続分 遺留分
配偶者 2分の1 4分の1
子3名 6分の1 12分の1

なお、直系尊属のみが相続人である場合は、3分の1が遺留分になります。

 

遺留分の対象となる財産

遺留分の対象となる財産は、被相続人が相続開始の時において有した財産と生前贈与した財産です。
生前贈与した財産については、持戻しの対象となる年数は贈与の相手により異なります。

 

● 相続人に対する贈与:相続開始前の10年間にしたもの
● 相続人以外への贈与:相続開始前の1年間にしたもの

 

そのため、早めに生前贈与を行っておくことが、遺留分侵害額請求への対応策として有効です。

 

遺留分を無視した遺言の効力

法定相続人の遺留分を無視した遺言も有効です。
そのため、遺留分が主張されることを想定しつつあえて、遺産のすべてを相続させたい人に相続させることも可能です。
さらに、遺産を相続した人を被相続人の生命保険金の受取人に指定し、生命保険金を遺留分侵害額請求を受けた際の支払いの原資とする対策が講じられることもあります。

遺留分侵害額請求とは

遺留分権利者(遺留分を侵害された法定相続人)は、遺留分を侵害している人(生前贈与を受けた人や遺言により遺産をもらった人)に対して、自身の遺留分に相当する金銭の支払いを求めることができます。
これを遺留分侵害額請求権といいます。

 

遺留分侵害額請求権の行使期間

遺留分侵害額請求権は、行使できる期間が限定されています。
具体的には、以下のいずれか早い時までです。

 

● 遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間
● 相続開始の時から10年

 

一般的には、被相続人が亡くなった時から1年経過した時点で遺留分侵害額請求権を行使できなくなります。

 

遺留分侵害額請求権の行使方法

遺留分侵害額請求権の行使方法については特に決まりはありません。
親が亡くなり、その子どもが複数いるにも関わらず、親の遺産が子どもの一人に遺産が集中しているケースでは、子どもたちで話し合うことも可能です。
ただ、行使できる期間が限定されていることから、期間内に請求していることを証するために、相手方に内容証明郵便を送付する方法が確実です。

 

遺留分侵害額の請求調停とは

遺留分侵害額請求に関して当事者間で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺留分侵害額の請求調停を申し立てることもできます。
調停は家庭裁判所で行われますが、通常の訴訟のように法廷で証拠をやり取りするわけではなく、調停委員を介して話し合いを行う形で進められます。
そのため、必ずしも弁護士を代理人に立てる必要はありませんし、ご本人が調停期日に出席して、自分の主張を述べることも可能です。

遺留分侵害額の請求調停で注意したいことは、調停の申立てを行っただけでは、遺留分侵害額請求権の行使期間に権利行使したことにならない点です。
そのため、調停の申立てとは別に相手方に内容証明郵便を送付しておく必要があります。

まとめ

兄弟姉妹以外の法定相続人には、原則としてそれぞれの法定相続分の2分の1(直系尊属のみが相続人の場合、3分の1)に相当する遺留分が認められています。
遺留分を侵害されている場合は、原則として相続開始から1年以内に遺留分侵害額請求権を行使しなければなりません。
実際の相続では、遺留分が侵害されているのかどうか分かりにくいこともありますし、どの財産が遺留分の対象になるのか判断が難しいことも多いです。
遺留分侵害額請求権の行使期間は限られているので、お困りのことがあれば早めに弁護士等の専門家へご相談ください。

投稿者: 棚田 章弘

2024.08.22更新

企業間や個人で業務委託契約などを結ぶ際に、NDA(秘密保持契約書)と呼ばれる契約を結ぶことがあります。
このNDA(秘密保持契約書)とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
この記事ではNDA(秘密保持契約書)がどのような時に使われるか、また必要な記載事項について解説します。

NDA(秘密保持契約書)とは?

NDA(秘密保持契約書)とは、取引において知った以下のような事柄を、取引目的以外で第三者に漏らさないことを定めた契約書です。

・取引を行う際に必要な営業秘密
・社内の情報
・顧客に関する個人情報

NDA(秘密保持契約書)はどのような時に使われる?

NDA(秘密保持契約書)はどのような時に使われるか説明します。

業務委託や他社への外注

たとえば、自社製品の説明書を他社に書いてもらう場合や、デザインを他社に任せる場合などが考えられます。
すべて自社でまかないたいけれども、そこまで行うには人手が足りない、設備が自社にないなどといった場合には業務委託や他社に外注することがあります。

他社との業務提携の場面

他社との業務提携の場面でも、秘密事項に関しての説明事項があった方が良いでしょう。
なぜならば、業務提携となると顧客情報を教えなければならなくなるからです。
もしも、顧客情報を外部に漏らされたら、信用問題に関わります。

新規取引を検討する場合

今まで付き合いのない会社と新規取引を検討する場合も、秘密事項に関しては正しく理解してもらいたいものです。

新規取引となれば、社内の情報も共有しなければならないことがあります。
万が一外部に漏らされてしまうと、自社独自の製品で漏らしたくない事項などが外部に流失してしまうかもしれません。

(NDA)秘密保持契約の締結はいつ?

(NDA)秘密保持契約は秘密情報のやり取り前に締結することをおすすめします。
仮に秘密情報のやり取り後の締結だとすると、すでに秘密情報が漏らされている可能性も考えられるからです。
秘密保持契約は、秘密情報のやり取りが発生する前の段階で締結することが望ましいです。
開示される情報の管理体制や権利義務関係について双方が合意した後に、情報が開示されなければ、その合意前に開示された情報が秘密として取り扱われない、それを受領者に利用されてしまうなどのリスクが生じうるためです。

しかし、やり取り前の段階となると、マニュアル作りを急がなければいけません。
また、きちんと禁止事項についての記載がないと誤解してしまう人がいる可能性もあります。
一から作るのは大変ですがひな形などをダウロードできますので、上手く利用しましょう。
そして、きちんと印刷して外部にも渡したいものです。
危機管理体制のある企業ということを取引先などに知っておいてほしいものでしょう。

(NDA)秘密保持契約に盛り込む事柄の例

では、具体的に(NDA)秘密保持契約にはどのようなことを盛り込めばよいのか、詳しく見ていきましょう。

機密情報の定義

まずは機密情報の定義をきちんと定めておくことが大切です。
秘密情報の例などを出してわかりやすく定義付けます。

管理方法

秘密漏えいを管理することも示しておきましょう。
きちんと管理されていることを相手に知らせておくことは大事です。

内容について

秘密情報を漏らさないことについて、お互いに気を付けることなど、内容がどのようになっているか書きます。
企業秘密を徹底していることが相手にわかるように記載しましょう。

例外に関すること

例外的ですが、秘密保持義務の対象とならないケースもあることも書いておきます。
そのようなケースについて定める規定があることも書いておくべきです。

期間について

秘密保持義務を守らなければならない期間がいつからいつまでか、わかりやすく記載します。

事故発生時の報告

万が一の秘密情報の漏えい事故が起こった場合を想定してください。
そのような時の対処法として、速やかに報告する旨を記載しておきます。

制裁について

秘密保持義務の違反があったときについての制裁も記載したいものです。
万が一のために損害の賠償、取引関係の解除などの制裁があることも書いておけば安心です。
相手も情報を漏らすことのリスクを認識するでしょう。

合意管轄について

もしも秘密保持義務の違反で大きな損害を被って裁判に発展した場合についても記載します。
そして、その際は、どこの裁判所が審理するかも記載しておくと丁寧です。

まとめ

NDA(秘密保持契約書)についてお伝えしました。
NDA(秘密保持契約書)は他社との業務提携、外部発注など、外部の人と関わる場合に社内のみが知っているような情報を離さないようにしてほしいことなどが記載してあります。
万が一の情報漏れを防ぐためには、作成しておいた方が良いでしょう。
こうしたNDA(秘密保持契約書)作成などの契約書については非常に重要となりますので、弁護士に相談することを検討してみてください。

 

投稿者: 棚田 章弘

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