2015.12.11更新

よく「口約束でも契約は成立するの?」との質問を受けます。

実際のところ,一部の例外を除いて,口約束でも契約は成立します。

契約は原則的には「意思表示の合致」で成立するからです。

売買でいえば,「○円で売ります。」「○円で買います。」という反対方向の意思表示が合致することで

契約は成立するわけです。

もっとも,売買でいえば,目的となる物の特定と金額は一番基本的な要素なので,

物が分からないのに買う,金額又はその算定方法が決まっていないのに買う,というものでは意思表示の合致とは言えません。

 

契約のなかでも保証契約など特別の類型については,書面での契約であったり,物の引渡しがないと契約成立しないものもあります。

 

しかし,多くの契約は,口頭の約束で契約が成立してしまうため,録音などされている場合にはこれが証拠となってしまいますのでご注意ください。

 

 

 

 

 

投稿者: 棚田 章弘

2015.12.08更新

親の死亡後に親に借金があったことが判明した,という事例は多くあります。

どのような手続を選択するかはまさしく借金の額によることになります。

 

借金の額が遺産の額より少額の場合には,単純承認で問題ありません。

相続した財産から借金を返済して,残りを相続人で分けることになります。

 

一方,借金の額が遺産より多い場合には,通常,相続放棄の手続をとることになります。

原則的には相続があったことを知ったときから3か月以内に相続放棄の手続を裁判所に申述することになります。

もっとも,一部の財産を自分のものにした場合などは,単純承認をしたとみなされてしまいますので,

相続放棄の手続が終わるまで遺産には手を付けずにおきましょう。

 

借金の額が遺産の額を超えるかわからない,という場合には,限定承認という方法もあります。

これは相続により得た財産の範囲でしか負債を相続しない,というものです。

もっとも,限定承認の手続は相続放棄よりも複雑で面倒なものが多いです。

このため,相続開始から3か月以内の間にしっかりと調査をしておくことが重要です。

調査に時間が足りない場合には,家庭裁判所に対して期間の延長を請求することも検討することができます。

 

投稿者: 棚田 章弘

2015.12.05更新

例えば,ご両親のうち1人が認知症を発症している場合で,親名義の賃貸不動産があったとします。

新規の入居申込があった場合,親の代わりに契約しても問題はないのでしょうか。

法律上,契約をするには,意思能力(物事を正常に判断できる能力)が必要になります。

したがって,認知症を患って判断能力がない場合,本人は契約をすることはできません。

また,親の代わりに別の人が契約をしても,本人の契約でない限り,有効な契約にはなりせん。

収益浮動s何を持つ方が認知症などにより判断能力を失った場合には,成年後見制度を用いて後見人を選任することになります。

そして,後見人は,認知症を発症した方の代理人として契約を締結することになります。

後見制度を用いずに親の財産を管理する場合,後に親族間の紛争にも発展しかねません。

このため,成年後見人の選任手続を執られることを強くお勧めします。

 

投稿者: 棚田 章弘

2015.12.03更新

破産を検討しているけど不安な方の相談に会社にばれないのか,というのがあります。

この点,直接的に会社に破産をしたことが知られてしまうことは少ないです。

会社に破産することを報告する義務もありませんし,会社も破産それ自体を理由に解雇することは違法な解雇になる可能性があります。

一点だけ,会社との関係で,必要なこととして,退職金の有無を調査する必要があり,

この点で,会社との接点がでてきます。

会社に退職金の額の証明書,または退職金がないことの証明書を出してもらう必要があるからです。

もっとも,労働契約書に退職金がないことが記載されていれば,労働契約書を提出すれば足りますので,

会社に何らお願いすることなく手続を進めることも可能です。

 

投稿者: 棚田 章弘

2015.10.19更新

破産手続は,破産の決定を受けた者の財産を処分,換価して,債権者に配当する手続きです。

しかし,破産者の生活の立て直しも破産法の目的であり,すべての財産が処分・換価の対象となるものではありません。

ぜいたく品でない家財道具など一定の範囲のものは破産者のものとして残されることとなります。

また,一定の範囲の預金や現金の一部は破産者の手元に残されますので,無一文になるということでもありません。

投稿者: 棚田 章弘

2015.10.17更新

離婚して子供の親権を得た場合,他方の親に対して養育費を請求することができます。

養育費は,合意によって決まれば合意によって決定した額になります。

 

一方,合意により決まらなかった場合には,調停,審判によって決まります。

調停,審判により決定される額は,「婚姻費用・養育費算定表」を用いる場合が多いです。

同算定表は裁判所のWEBページで入手することができます(「養育費 算定表」と検索すると表示されます。)。

算定表では子供を監護する親(権利者)と監護していない親(義務者)の収入金額との比較により金額が定まります。

 

もっとも,算定表は原則論であり,個別事情も考慮のうえ決まりますので,必ず算定表によって決まるわけではありません。

 

投稿者: 棚田 章弘

2015.10.15更新

親族が亡くなって,葬式も終わりやっと落ち着いたと思ったら,亡くなった人に借金があることが判明した・・・・

これは相続では特段珍しいことではありません。

特に,自分から見て叔父叔母にあたる人の相続のように,身近とはいえない人の相続の場合にはよくあることです。

この場合,そのまま放っておくと相続により借金を引き継いでしまった・・・ということも起こりえます。

ですから,相続の放棄の手続をとることが大切になります。

相続の放棄は,自分に相続が起こったことを知ってから3か月以内に行う必要があります。

そして,放棄は,単に放棄すると宣言するだけではなく,家庭裁判所に相続を放棄することを申述しなければなりません。

相続開始を知ったときから3か月を経過しても相続放棄の手続をしていない場合には思わぬ負債を負うことにもなりかねませんので,早期に手続を行うことが大切です。

投稿者: 棚田 章弘

2015.09.25更新

10年くらい前に借金をしており,そのまま支払わずにいたところ,つい最近になって督促が送られてきた・・・という事例があります。

この場合,時効が成立していれば,借金は支払う義務がありません。

消費者金融からの借金の場合,時効期間は5年になります。

最終の返済のときから5年が経過していれば時効を主張することで,借金の支払を免れることができます。

 

もっとも,注意が必要な場合は,消費者金融が裁判手続をしていた場合です。

消費者金融が判決やこれと同様の効果をもつ支払督促などをしていた場合,借金の時効は,判決確定時から10年とされます。

 

また,借金の督促が来た場合に,消費者金融に「支払う。」といったしまった場合には,

時効の主張ができなくなってしまいます(「債務の承認」といいます。)。

いずれにしても,消費者金融から督促が来た場合には,安易に連絡を取らず,専門家へ相談したほうがよい場合がほとんどです。

 

投稿者: 棚田 章弘

2015.09.23更新

親が死亡してから初めて親に借金があることが判明する場合があります。

そして,そのまま,借金があることを放置しておくと相続によって親の借金をそのまま返済する義務を負ってしまいます。

そこで,親の借金を負担したくない場合には,相続放棄または限定承認の手続をしなければなりません。

相続放棄というのは,親の遺産(プラスの遺産もマイナスの遺産も含みます。)の一切をいらないといって放棄することです。

一方,限定承認とは,親の残した遺産の範囲内でのみ相続をします,という意味です。

例えば,親が100万円のプラスの財産を残して,借金が200万円あった場合には,プラスの財産である100万円の限度でしか借金を相続しないということです。

 

この相続の放棄や限定承認は,相続が開始したのを知ってから3か月以内に行う必要があります。

ただ,注意しないといけないのは,3か月の期間が経過する前に遺産を使ってしまったような場合には,法定単純承認といって,相続を承認したものとみなされてしまいます。

このため,親に借金があることが見込まれる場合には,借金があるかどうかの調査が終了するまでは遺産を使わないことが大切です。

 

投稿者: 棚田 章弘

2015.09.04更新

賃貸不動産をお持ちの方は,賃借人が家賃を支払ってこないという場合もあると思います。

 

この場合に,回収する手段としては,

① 任意故障

② 裁判手続

③ 支払督促

などといった方法が考えられます。

 

①は弁護士が間に入ったうえで,通知書を送り,支払を請求するものです。

 利点は,簡易迅速で費用も定額であること,

 欠点は,相手方が任意に支払わなかったときは,回収できないこと,

です。

②裁判手続は,裁判を用いて賃料を回収する方法です。

建物の明け渡しの裁判も一緒に行うのが通例です。

 利点は,判決を得れば賃借人の財産を差し押さえて回収ができること

 欠点は,判決をとっても賃借人に財産がなければ回収ができないこと

です。

裁判になるということは相当程度家賃の滞納が続いていることから,

回収よりも建物を明け渡してもらうことが主眼になることが多いと思われます。

賃借人もお金がないからこそ賃料を支払っていないのであり,回収を図るためには相当の工夫が必要になります。

その意味では入居時に保証人をつけておくなど,事前に回収手段を増やしておくことが必要になるでしょう。

 

③支払督促は,裁判所を利用した簡易な回収手段です。

借主の意見を聞かないまま裁判所が支払を命じる督促を発します。

もっとも,相手方の意見を聞かないまま行うので,借主の側で異議を申し立てれば通常裁判手続に移行します。

 利点は,裁判よりも早期に強制執行できるようになること

 欠点は,借主が異議を述べれば通常裁判に移行すること,判決と同様に借主に財産がなければ回収できないこと

です。

支払督促自体の効果は,未払賃料を命じる裁判と同様の効果しかありませんので,

財産を有する保証人がいる場合など利用する機会は限られるでしょう。

投稿者: 棚田 章弘

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