2016.04.14更新

遺言で,すべての遺産を特定の人に与えるという内容の遺言があった場合,もらえなかった相続人は,遺言で遺産を得た人に対し,遺留分を請求することができます。

遺留分とは遺言をもってしても奪うことのできない相続人の権利と言われます。

遺留分は,配偶者(夫,妻),直系卑属(子),直系尊属(父母)に与えられる権利で,兄弟姉妹には遺留分はありません。

 

遺留分は,遺産を取得した人に対して遺留分を行使する旨の意思表示をすることによって,権利行使をします。

意思表示の方法はどんな方法でもよいのですが,遺留分の請求をしたことの証拠を残すために内容証明郵便で行うのが一般的です。

投稿者: 棚田 章弘

2016.03.24更新

亡くなった人(被相続人)が死亡した場合の相続人は,

第1順位・・・子

第2順位・・・尊属(親)

第3順位・・・兄弟姉妹

となり,配偶者(夫・妻)は常に同順位の相続人になります。

 

子供しかいない場合には。相続人はすぐにわかりそうな気もしますが,

実は隠し子がいた・・・というような場合も考えられます。

 

そこで,実際には,亡くなった人(被相続人)の出生から死亡までの戸籍・改製原戸籍・除籍をたどって,

相続人が誰であるかを調査していくことになります。

 

戸籍等は,市役所・区役所などで入手することになります。

本籍地を転々としている場合には,それぞれの地域を管轄する役所へ戸籍の申請をすることになるので,

時間がかかることもあります。

 

戸籍の見方は慣れないとわからないこともありますので,

専門家に確認してもらうのも一つの方法です。

投稿者: 棚田 章弘

2016.03.22更新

離婚の際,相手方に対しては財産分与を請求することができますが,

離婚をすでにしてしまった後でも財産分与の請求はすることができるのでしょうか。

 

実は,民法768条2項は,財産分与の請求期間について,

「離婚の時から二年を経過したときは」財産分与を請求できないとしており。

離婚後でも財産分与の請求をできることになっています。

このため,離婚の際に,財産分与を意識することなく離婚した場合でも,

その後に財産分与を請求することが可能になります。

 

もっとも,離婚後に財産分与を請求する場合,

元配偶者の財産の状況を把握していないまま離婚したという場合がありえます。

この場合,これから離婚する場合に比較して調査をすることができないため,

財産分与の請求が若干難しくなるという場合がありえます。

 

財産分与を請求したいという場合には,離婚前から配偶者の財産を調査しておくほうがよい結果が得られやすい,という傾向にあります。

投稿者: 棚田 章弘

2016.03.20更新

残業代を請求するにあたって,重要になるのは,どのくらいの時間の残業をしていたかになります。

ご存じのとおり,残業代の請求は時間単位で計算をします。

このため,どのくらいの時間働いていたかは,残業代を請求するにあたって一番の核となり,

この時間が証明できなければ,裁判手続で残業代が認められない結果にもつながりかねません。

 

では,どのように残業時間を証明することになるのでしょうか。

手段としては

・タイムカード

・送受信した電子メール(メールの送信時間)

・業務日報

・シフト表

・出退勤表

・パソコンを立ち上げと立ち下げのログデータ

などを用いて証明した事例があります。

 

いずれも,退職してしまった後は証拠として入手しにくいものです。

残業代を請求したいという場合には,退職する前に出退勤の証拠資料を集めておくことが重要になります。

 

投稿者: 棚田 章弘

2016.02.23更新

前回の記事に記載しましたように,訴訟の相手方にお金がない場合には,

仮に,勝訴したとしても,何もお金が回収できなかった・・・ということにもなりかねません。

また,訴訟をしている間に,相手方がお金を隠してしまう・・・ということもよくあります。

お金のありかを隠されてしまうような場合,回収が困難になってしまいます。

 

そこで,訴訟をする前に,「保全」という手続を執ることによって,

相手方の財産関係を仮に確定し,相手方が財産を隠したりできないようにすることができます。

保全のなかでも,「仮差押え」という手続であり,銀行の預金口座,不動産などを「仮に」差し押さえることができる手続になります。

 

仮差押えのメリットは,あらかじめ強制執行に備えて財産を仮差押えできることから,

勝訴したときの回収がスムーズになります。

また,法律上の効果ではありませんが,仮差押えすることで,相手方が和解を申し出てくることもあります。

 

仮差押えのデメリットは,担保金が必要になることです。

債権額の2~5割の金額を法務局に供託することが仮差押えの条件となります。

このため,手元資金がない場合には,仮差押えをすることは難しくなります。

 

供託金というデメリットはありますが,

のちの強制執行を考えた場合,供託金を用意できるのであれば,仮差押えをしておくメリットは大きいといえます。

投稿者: 棚田 章弘

2016.02.20更新

相手方に裁判で勝ってお金を請求したい。

これは,裁判をやるからには当然にみなさんが考えることです。

しかしながら,実際にお金が回収できるかどうかは相手方がお金をもっているかどうかにかかわってきます。

お金を持っていない人からお金を回収するのは極めて困難です。

定職についている人であれば,給料を差し押さえることによって回収ができるかもしれませんが,

会社を辞められてしまった場合には新しい就職先を調査しなければなりません。

 

また,裕福な暮らしをしている相手方であっても,財産がどこに存在するのか知らない場合には,

やはり回収は難しいです。

 

このため,相手方の財産がどこにあるのかの事前のリサーチも裁判の前提として欠かせません。

職場はどこなのか,使っている銀行(支店)はどこなのか,不動産や有価証券は持っているのか,

このあたりの事情は調べられるのであれば,調べておきましょう。

 

裁判で勝訴の見込みがあるとしても,実際の勝訴後の回収の目途が立たないのであれば,

和解で終わらせることも十分に考えるべきでしょう。

 

 

投稿者: 棚田 章弘

2016.01.18更新

当事者の話し合いで決めた養育費であっても,調停で決めた養育費であっても。一度当事者が合意で定めた養育費の額は契約としての効力が認められます。

よって,原則的には,一度決めた養育費の額はそのまま継続するということになります。

もっとも,離婚後に子や父母の生活環境が変わることは十分にありますし,その変化次第では,養育費の額を変更することが養育費を払う側,もらう側にとって公平な場合もあり得ます。

そこで,いったん養育費の額が決定されたとしても,事後に事情に変更が生じたときは,養育費の額は変更できるものとされています。

 

では,どのような事情がある場合に,養育費の額の変更は認められるのでしょうか。

この点,一般的には,養育費を支払う者,養育費をもらう者の職業上の地位の変化,父母の資力の増減,父母の再婚,子と再婚相手との養子縁組,新たな子の誕生など家族構成の変化,物価変動,生活水準の向上などの様々な事情の変化を総合的に考慮するとされています。

 

そして,これらの事情の変更が養育費の額の決定の際に考慮されていたかどうか,また,将来の予測が可能であったかどうか,そして,そうした事情の変更が重要なものかどうか,といった点を考慮して,養育費を変更すべきかどうかが決められます。

 

投稿者: 棚田 章弘

2016.01.11更新

養育費は定期払が原則ではありますが,養育費を払う側ともらう側が合意をすれば,一括でもらうことも可能です。

では,養育費を一括でもらって,それを使い切ってしまった場合,もう一度養育費をもらうことはできるのでしょうか。

 

この点,調停手続による決定の場合でも,当事者の話し合いによる場合でも,当事者は,お互いが納得のうえで決めた合意内容には拘束されることになります。

そして,養育費の一括払いの合意が,その後の養育費の再度の請求を許さない旨の内容と判断される場合には,養育費の再請求は認められません。

 

もっとも,養育費は,子供の養育のために支払われるという性質のものですから,さまざまな事情の変更によって,養育費が不足し,子供の監護養育に不利益が生じる場合にまで,再度の請求が認められない,となるとそれは酷というものです。

このため,一括払い時には想定できなかったような相当な事情の変更があったといえる場合には,事情変更があったとして,再度の養育費の請求が認められる,と考えられます。

もっとも,事情変更があったかといえるかは,それぞれの事件に応じて判断されます。

 

過去のケースでは,養育費の一括払いを受けていたが,子供を私立中学校,学習塾に進学させたために,養育費を使い切ったという例で,私立学校,学習塾に通わせた場合には,高等教育を受ける以前に養育費を使い尽くすことは容易に想定できた,として,養育費の再度の支払請求を認めなかった例があります。

投稿者: 棚田 章弘

2016.01.08更新

養育費は,毎月の定期払で支払われることが望ましいとされています。

このため,裁判所を利用した審判手続で養育費を定める場合には,一括前払いは認められにくい傾向にあります。

 

もっとも,養育費を支払う義務者と養育費をもらう権利者がお互い納得のうえで合意した場合にまで一括払いを否定する理由はありません。

このため,養育費を一括で支払うという内容の合意が成立すれば,一括で養育費を受け取ることも可能になります。

 

結局,話し合い,調停の場で,養育費を払う側ともらう側がお互いに一括払いにしましょう,と約束した場合に限って,一括払いが認められることになります。

 

投稿者: 棚田 章弘

2015.12.14更新

男女雇用均等法の指針及び通達ではセクハラとは,

「性的な言動」

「就業環境が害される」

ことがその判断基準とされています。

 

もっとも,上記の基準は画一的に判断できるものではないため,最終的には個別的な事情をもって判断することになります。

国家公務員については人事院規則で例が挙げられており,非常に参考になります。

性的な発言としては

・スリーサイズは?」など身体的特徴を話題すること

・体調が悪そうな女性に対して「今日は生理日か?」、「もう更年期か?」などの発言をすること

・性経験や性生活についての質問、性的な噂を立てたること

・性的なからかいなど

・「男のくせに根性がない」、「女には仕事を任せられない」などの発言

・「男の子、女の子」、「おじさん、おばさん」などの人格を認めないような呼び方

性的な行動関係としては,

・ヌードポスターを貼る

・食事やデートにしつこく誘う

・性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙・電子メールを送る

・身体に不必要に接触する

・性的な関係を強要する

性による差別意識に基づくものとしては

・女性であるというだけでお茶くみ、掃除、私用等を強要する

・宴席でのお酌や、カラオケでデュエットを強要する

などがあります。

 

 

 

投稿者: 棚田 章弘

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